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国際比較

スイスにおける議論の参加者は皆、国際基準を援用してきたが、そこから導き出す結論はそれぞれ異なる。UBSは、提案は国際的な整合性を欠いており、同行をグローバルなシステム上重要な銀行の中で異例の存在にするであろうと主張する。改革の支持者は、バーゼル基準は最低基準であること、スイスは長らく大銀行に「スイス・フィニッシュ」を適用してきたこと、そしてスイスの国内総生産に対するUBSの規模は他のいかなる主要経済国にも例をみないことを挙げて反論する。2024年4月の報告書も、統合後の銀行の貸借対照表をスイスの国内総生産の約180%と位置づけ、同じ点を指摘していた。1

国際通貨基金(IMF)はスイス当局を支持した。2026年6月の協議において、IMFのミッション・チーフJames Walshは、普通株式等Tier1(CET1)は最も質の高い資本形態であり、市場の信認を高める最善の方法であるから、IMFは提案を「強く」支持すると述べた。IMFはまた、スイス金融市場監督機構(FINMA)の人員と権限の拡充、外部監査に対する監督の強化、およびスイス国立銀行(SNB)の流動性ファシリティの実施を勧告した。2 この支持は重要であった。スイスの提案は銀行の安全性に関する国際的な考え方からかけ離れているという主張に反するものだったからである。

他の法域との比較によれば、親銀行に関するスイスの問題は、その規模こそ特異であるものの、スイスに固有のものではない。米国では、大規模な事業を営む外国銀行は、米国の子会社を、米国の資本・流動性要件に服する中間持株会社の下に置かなければならない。英国では、Vickers報告書の後に導入されたリングフェンス制度により、大規模な銀行グループ内でリテール銀行業務と投資銀行業務が分離されている。いずれの制度も、スイスの提案の動機となっているのと同じ懸念を表している。すなわち、受入国の当局は、資本と流動性をリスクが生じる場所に置くことを望む。危機の際にそれらを自国内に留めておくことができるようにするためである。3 2024年4月の連邦参事会の報告書は、スイスの親会社における資本強化の理由として、外国のリングフェンスに明示的に言及していた。したがってスイスの提案は、受入国がすでに適用しているリングフェンス措置に対応する本国側の措置と読むことができる。外国子会社が現地で資本を備えなければならず、その資本が危機の際に封じ込められる可能性があるならば、親会社は、子会社の価値の喪失を吸収するのに十分な自己資本を自ら保有しなければならない。

責任の所在に関しては、スイスは後発国である。前述のとおり、英国は2016年以来シニア・マネージャー制度を、香港は2017年以来Manager-in-Charge制度を、シンガポールは2021年以来個人の責任に関するガイドラインを、アイルランドは2024年以来Senior Executive Accountability Regimeを有している。スイスの草案はこれらすべてを参考にしつつ、その適用範囲はより限定的である。監督上の制裁金についてはその差はさらに大きい。英国の金融行為監督機構(FCA)や健全性監督機構(PRA)を含む主要な監督当局の大半は、以前から企業に制裁金を科す権限を有しているからである。4 営業収益の10%までの制裁金が導入されれば、FINMAは他国の監督当局に近づくことになる。

流動性に関する措置も、国際的な動向に沿ったものである。2023年のSilicon Valley BankとCredit Suisseの破綻の後、複数の中央銀行および国際機関が、銀行が中央銀行のファシリティを迅速に利用できる態勢をどのように整えるかを検討した。銀行に担保を事前に準備することを義務づけ、標準化された手続を通じて住宅ローン債権を担保に供することを認めるスイスのアプローチは、この流れに対応するものである。公的な流動性バックストップには、他の法域に先例がある。そこでは、中央銀行が何らかの形の政府補償を受けて、破綻処理中の銀行に融資することができる。5 スイスの事例を特徴づけているのは、保証の対価を銀行がどのように支払うべきかについて合意することの難しさである。この難しさは、リスクが単一の機関に集中していることを反映している。

注

  1. 連邦参事会, Report on banking stability, 2024年4月10日, https://www.efd.admin.ch/dam/en/sd-web/LuYox2INDaQy/bericht-br-tbtf-en.pdf. ↩
  2. SWI swissinfo.ch(Bloomberg), “Switzerland’s capital plan for UBS wins wholehearted IMF backing”, 2026年6月25日, https://www.swissinfo.ch/eng/switzerlands-capital-plan-for-ubs-wins-wholehearted-imf-backing/91649572. ↩
  3. Board of Governors of the Federal Reserve System, Dodd-Frank Act第165条に基づく強化された健全性基準を実施する最終規則に関する2014年2月18日のプレスリリース, https://www.federalreserve.gov/newsevents/pressreleases/bcreg20140218a.htm。同規則は、米国における支店以外の資産が500億ドル以上の外国銀行組織に対し、米国子会社を統括する米国中間持株会社の設立を義務づけている。Bank of England, “Ring-fencing”, https://www.bankofengland.co.uk/prudential-regulation/key-initiatives/ring-fencing(“Ring-fencing came into force on 1 January 2019”); Financial Services (Banking Reform) Act 2013, Part 1(“Ring-fencing”), https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2013/33/contents. ↩
  4. Financial Services and Markets Act 2000, section 206(1), https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2000/8/section/206: “If the appropriate regulator considers that an authorised person has contravened a relevant requirement imposed on the person, it may impose on him a penalty, in respect of the contravention, of such amount as it considers appropriate.” Financial Services Act 2012以降、所管規制当局はFCAまたはPRAである。 ↩
  5. 例えば英国では、HM Treasury and Bank of England, “Memorandum of Understanding on Resolution Planning and Financial Crisis Management”, 2017年10月, https://www.bankofengland.co.uk/-/media/boe/files/memoranda-of-understanding/moufincrisisoct2017.pdf。同覚書は、財務省の承認がある場合に、Resolution Liquidity Frameworkを通じて特別破綻処理制度(Special Resolution Regime)の下にある企業に流動性支援を行うこと、およびイングランド銀行が財務省の指示の下で行う業務について財務省が同行に補償を与えることを定めている。 ↩

本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。

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