クリプトバレーに来た人々
クリプト・バレーの初期の住民は国際的で若かった。創業者たちは、ドイツ、オーストリア、カナダ、米国、ロシア、ウクライナ、イスラエル、中国およびシンガポールから来た。その多くは金融の経歴を持たない技術者であり、一部は最初のビットコインのサイクルで財を成し、会社を築くための安定した場所を探していた。業界の作業言語は当初から英語であり、それは、コモディティ取引業者と持株会社がそれまでの数十年間に作り上げてきた英語圏的な環境に合致していた。この点には第J部で立ち返る。
彼らをツークに導いた動機はいくつかあった。イーサリアム財団は開発者の間で同州(カントン)の名を知らしめ、規制環境が開かれていることも知られていた。税率は会社にとっても個人にとっても低く、私的に保有する暗号資産に係るキャピタルゲインは非課税であった。生活の質は高く、チューリッヒ空港までは30分であった。あとは口コミがその役割を果たした。ツークに拠点を構えた創業者が他の者に伝え、同州の評判は会議、オンライン・フォーラムおよび業界のソーシャル・ネットワークを通じて広まった。
来た者のすべてが歓迎されたわけではない。開かれた環境は、品質の疑わしいプロジェクトや、まぎれもない詐欺をも引き寄せたからである。スイス金融市場監督機構(FINMA)のガイドラインと2017年および2018年の執行措置以前には、当局はそれらに対してほとんど何もできなかった。失敗したプロジェクトや詐欺的なプロジェクトとの結びつきによって同州の評判が損なわれるにつれ、業界自身の指導者たちが基準を求め始めた。2018年に採択されたCrypto Valley Associationの行動規範は、その対応の一つであった。1
注
- Crypto Valley Association, "Crypto Valley Association Announces Switzerland's First ICO Code of Conduct", 2018年1月9日, cryptovalley.swiss:2018年1月に開始されたイニシャル・コイン・オファリング(ICO)に関する行動規範。会員はこれを承認し毎年再確認しなければならず、違反には懲戒処分が科される。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。