スイスと欧州のアプローチの比較
スイスと欧州のアプローチは、方法において異なる。暗号資産市場規則(MiCA)は、欧州連合(EU)の既存の金融サービス法を補完する暗号資産のための特別な制度であるのに対し、スイスの枠組みは一般的な金融市場法を暗号資産に適用し、必要に応じてそれを調整する。スイスのアプローチには、技術にかかわらず同じ活動が同じ規定に服するという一貫性の利点がある。他方で、トークンの分類とそれに伴う義務を個別に確定しなければならず、それが不確実性と助言費用を生むという欠点がある。MiCAはより明確な類型と、欧州パスポートを伴う単一の認可を提供するが、複雑さと、新たなビジネスモデルに対してより硬直的な制度であるという欠点を有する。
両制度は内容においても異なる。MiCAはホワイトペーパー義務を通じてユーティリティ・トークンその他の暗号資産の発行者を規制しているが、スイス法は有価証券でないトークンの発行者に同等の義務を課していない。MiCAは暗号資産サービス提供者を健全性規制に服させている。スイス法は現在、その大半をマネーロンダリング防止上の監督にのみ服させている。MiCAはステーブルコインの発行を信用機関および電子マネー機関に限定しているが、スイス法はこれまで銀行法(BankA)とスイス金融市場監督機構(FINMA)のガイダンスに依拠してきた。提案されているスイスの改革は、これらの相違の一部を解消するであろう。しかしそれは、スイスの提供者に欧州市場へのアクセスを与える同等性を創出するものではない。そうしたアクセスにはスイスとEUとの間の協定が必要であるが、金融サービスについてはその見通しは立っていない。1
注
- 連邦外務省欧州局, "Package Switzerland–EU (Bilaterals III)", europa.eda.admin.ch:2024年12月に交渉が実質的に妥結し、2026年3月2日に署名された。このパッケージは、とりわけ電力、食品安全および保健に関する新たな協定を対象としており、金融サービスに関する協定は挙げられていない。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。