財産とイタリアにおける財産税の不存在
条約第22条は、財産に対する租税を対象としている。第1項は不動産によって表される財産をその所在する国に、第2項は恒久的施設の動産を当該施設の所在する国に、第3項は国際運輸に運用される船舶および航空機を実質的管理の場所が所在する国に配分している。財産のその他すべての要素は、居住地国においてのみ課税される。1 イタリアは一般的な財産税を課していないため、この条項は主としてスイスに有利に働いている。スイスは、その居住者の財産と非居住者のスイス不動産に課税するからである。1976年の議定書はすでに、イタリアの財産税が導入された場合には条約がこれに適用されることを定めていた。2 国外不動産価額税(IVIE)および国外金融資産価額税(IVAFE)が第2条および第22条の意味における財産に対する租税であるか否かは、判断されていない。仮にそうであるとすれば、第22条第4項は、イタリア居住者のスイスの銀行口座をイタリアに排他的に配分することになり、これはいずれにせよ国内規定がもたらす結果である。また第22条第1項は、第24条に基づく軽減を伴って、両国がスイスの不動産に課税することを認めることになる。
条約のない相続税・贈与税
スイスとイタリアは、相続税および贈与税に関する条約を締結したことがない。1976年の条約は、所得および財産に対する租税のみを対象としている。ルガーノの住居とスイスの銀行口座を遺して死亡したイタリア居住者は、その全世界の遺産についてイタリアの相続税に服する一方、ティチーノ州は同州に所在する不動産に相続税を課す。ティチーノ州は、配偶者、登録パートナーおよび直系尊属・卑属を免除しているため、問題は主として兄弟姉妹、より遠い親族および親族でない相続人について生じる。3 E.V章では、イタリアの相続税・贈与税統合法典(TUS)第26条に基づく一方的な税額控除とその限界を説明する。条約がないことはまた、両国がそれぞれ被相続人が自国の領域内に居住していたと主張しうることを意味し、その抵触を解決する手続は存在しない。所得税条約第26条に基づく相互協議手続は相続税には及ばないが、所得税の目的での第4条に基づく居住の判断は、実務上、相続税の課税に影響を与えることになる。
注
- 条約第22条、条文(前掲)。 ↩
- 1976年3月9日の議定書第1項、条文(前掲)(イタリアの財産税が導入された場合の条約の適用)。 ↩
- 1994年6月21日のLegge tributaria del Cantone Ticino第154条第1項f号(「il coniuge, il partner registrato, gli ascendenti e discendenti in linea diretta」)、2023年12月12日改正、Bollettino ufficiale 26/2024、https://www4.ti.ch/fileadmin/DFE/DC/DOC-TRIBUTARIA/2024/Bollettino_ufficiale_26-_2024.pdf。E.V章参照。 ↩
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