ティチーノ州の州税とルガーノの税率
2018年の改革とTRAFへの適合
ティチーノ州は、連邦の改革が完了する前から、優遇税制の終了に向けた準備を始めていた。2018年4月29日に州の有権者によって承認された州の税制・社会改革は、企業に対する負担軽減と、使用者が財源を負担する社会政策とを組み合わせたものであった。税制面では、利益税の10%を資本税から控除する部分的な税額控除を導入した。資産の大部分が適格資本参加から成る会社には、さらなる軽減が認められた。また、個人が保有する適格資本参加からの配当の課税対象部分を70%に引き上げた。社会面では、使用者が3,000スイスフランの出産・養子縁組手当と保育費用への拠出金を負担することとされた。1 税負担の軽減と社会政策とのこの組合せは、法人税改革を老齢保険の財源確保と結び付けた税制改革・AHV財源法(TRAF)の論理を先取りするものであった。
2019年5月19日の連邦の国民投票の後、州政府(Consiglio di Stato)は州税法のTRAFへの適合を提案した。2019年7月10日の教書は、州の利益税率について三段階のスケジュールを示した。すなわち、2019年は9%、2020年から2024年までは8%、2025年からは5.5%である。州は連邦の諸手段を上限の水準で採用した。90%のパテントボックス軽減、50%の研究開発追加控除、および負担軽減全体についての70%の上限が定められた。特許については資本税の軽減を認めたが、資本参加とグループ内貸付についてはこれを退けた。利益税の資本税からの控除は10%から16%に引き上げられることとされた。州税に適用される州税係数は、2019年の100%から2020年以降は98%に、さらに州議会の後日の決定を条件として、2025年以降は96%に引き下げられることとされた。2
遅れた引下げと順位
段階的な手法を採ったことにより、ティチーノ州はTRAF後の最初の5年間、企業にとって税負担の重い州の一つにとどまった。2021年のKPMGデータに基づく比較では、ティチーノ州の実効利益税率は19.2%で、26州中24位であり、2013年の22.73%からは低下していた。3 2023年2月の商工会議所の刊行物は、5.5%への引下げ後でさえ州の順位は20位前後にとどまり、税率約12%のツーク州、ニートヴァルデン州およびルツェルン州の後塵を拝すると指摘した。4 この批判は、この時期のティチーノ州の経済論議で繰り返し現れた。商社とその助言者は、ルガーノを、2020年に実効税率が12%から14%の間まで低下していたツークやジュネーブと直接比較した。
最終段階は2025年1月1日に発効した。KPMG Swiss Tax Report 2025は、ティチーノ州について、州都における実効利益税率が3.11ポイント低下して16.05%となったことを記録した。同年にこれほど税率を引き下げた州は他になかった。スイスの平均は14.6%から14.4%に低下した。ツーク州は11.85%で引き続き最も低い州であり、最も高いのはベルン州の20.54%で、チューリッヒ州は19.61%であった。5 2020年に税率を約14%に引き下げていたジュネーブ州は、ミニマム課税との関連で、2025年に税率を14.7%に引き上げた。その理由付けは、どの州にも当てはまるものであった。すなわち、州の通常の法の下で徴収される追加の税収は全額が州にとどまるのに対し、連邦のトップアップ課税の4分の1は連邦に帰属するというのである。6
注
- Repubblica e Cantone Ticino, Votazione cantonale del 29 aprile 2018 , 説明冊子C, 「Riforma cantonale fiscale e sociale: misure fiscali」, https://www4.ti.ch/fileadmin/GENERALE/DIRITTIPOLITICI/votazioni/pdf/2018/29-04-2018_Opuscolo-C.pdf。 ↩
- Consiglio di Stato del Cantone Ticino, 「Adeguamento della Legge tributaria cantonale alla Legge federale concernente la riforma fiscale e il finanziamento dell'AVS (RFFA) – Riforma fiscale cantonale」, 2019年7月10日付プレスキット, https://www3.ti.ch/CAN/cartellastampa/pdf-cartella-stampa-244279585512.pdf。 ↩
- Generoso Chiaradonna, 「Fiscalità, le aliquote ticinesi scendono ma si marcia sul posto」, laRegione, 2022年1月13日, https://www.laregione.ch/cantone/ticino/1559089/servizi。 ↩
- 「Fiscalità: numeri e fatti」, laRegione, 2023年2月28日(Camera di commercio del Cantone Ticinoの刊行物), https://www.laregione.ch/temablog/-publiredazionale/1648013/servizi。 ↩
- SWI swissinfo.ch, 「Swiss corporate tax rates edge down slightly」, 2025年5月21日, https://www.swissinfo.ch/eng/various/swiss-corporate-tax-rates-edge-down-slightly/89374335(KPMG Swiss Tax Report 2025を報じたもの)。 ↩
- KPMG Switzerland, 「Corporate tax rates decline in Switzerland – global minimum tax and US tariffs top agenda」, プレスリリース, 2025年5月20日, https://kpmg.com/ch/en/media/press-releases/2025/05/clarity-swiss-taxes.html。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。