イタリアの所得税における信託の取扱い
イタリアの所得税法は、2007年度予算法以来、信託を納税義務者として扱っている。1986年12月22日の大統領令第917号、すなわち所得税統合法(Testo unico delle imposte sui redditi、TUIR)第73条第1項(b)および(c)の下では、居住者である信託は法人所得税(IRES)に服する。非居住者である信託は、イタリア源泉所得について課税される。受益者が特定されている場合、信託は透明であり、その所得は、分配されたか否かにかかわらず、持分に応じて受益者に帰属する(TUIR第73条第2項)。TUIR第73条第3項の下では、1996年4月1日の委任立法令第239号第11条第4項(c)に基づいて公表されるリスト、すなわち十分な情報交換を認める国についてのイタリアのリストに掲載されていない国で設定された信託は、少なくとも一人の委託者と少なくとも一人の受益者が税務上イタリアに居住している場合には、イタリアの居住者であると推定される。信託の設定後にイタリア居住者が不動産又は不動産に関する権利を信託に移転した場合にも、同じ推定が適用される。いずれの推定も反証によって覆すことができる。1 そのため、透明な信託と不透明な信託の区別が、イタリアの信託課税の第一の問題となっている。
2019年12月19日の法律第157号によって法律に転換された2019年10月26日の緊急法令第124号第13条は、不透明な外国信託からの分配に関する規定を追加した。TUIR第44条第1項(g-sexies)は現在、優遇税制を有する国で設定された信託その他類似の制度がイタリア居住者に支払う所得を、受益者が特定されていない場合であっても、資本所得として扱っている。第45条第4項の4は推定を加えている。受領額について所得と元本を区別することができない場合、「l'intero ammontare percepito costituisce reddito」とされる。2 歳入庁(Agenzia delle Entrate)は、2022年10月20日の通達第34/E号においてこれらの規定を解説した。この目的上、ある国が優遇税制を有するのは、TUIR第47条の2を参照し、名目上の課税水準がイタリアの水準の50パーセントを下回る場合である。推定は相対的なものであり、受益者は、受託者の会計に基づいて分配のどの部分が元本に当たるかを示すことにより、これを覆すことができる。3
この通達はまた、仮装信託又は介在信託に関するイタリアの立場を改めて示した。信託が、委託者又は実際に資産を支配する受益者から形式上独立しているにすぎない場合、信託は無視され、その所得はそれを支配する者に直接課税される。4 撤回可能信託、委託者が受託者に指図できる信託、および委託者が唯一の受益者であり続ける信託は、その典型的な候補である。イタリアの委託者又は受益者を有する信託を管理するスイスの受託者にとって、このことは二つの帰結をもたらす。第一に、信託の会計は当初から元本と所得を明確に区別しなければならない。そうでなければ、イタリア居住の受益者へのすべての分配が全額課税される可能性がある。第二に、受託者の裁量の実在性を文書化しなければならない。委託者自身の口座の延長として機能する信託は、そのようなものとして扱われるからである。
注
- TUIR, 第73条第1項(b)および(c)、第2項および第3項, Brocardi.itのテキスト, https://www.brocardi.it/testo-unico-imposte-redditi/titolo-ii/capo-i/art73.html(2026年10月5日閲覧), D.Lgs. 27 dicembre 2023, n. 209による第3項の改正に関する注記を含む。Circolare n. 34/E(後掲)は、「il comma 74 dell'articolo 1 della legge finanziaria 2007 ha modificato l'articolo 73」と述べている。 ↩
- Agenzia delle Entrate, Circolare n. 34/E del 20 ottobre 2022, "Disciplina fiscale dei trust ai fini della imposizione diretta e indiretta", Dirittobancario.itのテキスト, https://www.dirittobancario.it/wp-content/uploads/2022/10/Circolare-Agenzia-delle-Entrate-20-ottobre-2022-n.-34-Trust.pdf(2026年10月5日閲覧)。「decreto legge 26 ottobre 2019, n. 124, convertito con modificazioni dalla legge 19 dicembre 2019, n. 157」第13条により改正されたTUIR第44条第1項(g-sexies)および第45条第4項の4を引用している。 ↩
- TUIR第47条の2(「il livello nominale di tassazione risulti inferiore al 50 per cento di quello applicabile in Italia」)については、Circolare n. 34/E(前掲)。推定の相対的性質については、Tommaso Gavi, "Trust: imposte dirette e indirette, monitoraggio fiscale e giurisprudenza nella circolare delle Entrate", Informazione Fiscale, 2022年10月21日, https://www.informazionefiscale.it/trust-imposte-dirette-indirette-giurisprudenza-circolare-Agenzia-Entrate(2026年10月5日閲覧)。 ↩
- Circolare n. 34/E(前掲):「il reddito di cui 'appare titolare' il trust è assoggettato ad imposizione ... direttamente in capo all'interponente」。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。