MROSへの報告:法、統計、ティチーノ州の割合
報告義務と報告権
第D.IV章では、1994年の報告権と1997年の報告義務がどのように成立したかを述べた。現行法の下では、金融仲介業者は四つの場合に、マネーロンダリング報告局(MROS)に直ちに報告しなければならない。この義務は、取引関係に関わる資産が、スイス刑法(SCC)第260ter条もしくは第305bis条の犯罪と関連していること、重罪もしくは加重税務軽罪に由来すること、犯罪組織もしくはテロ組織の処分権に服していること、またはテロ資金供与に用いられることを、仲介業者が知り、またはそう疑うに足りる合理的な根拠を有する場合に生じる。そのような疑いを理由に取引関係に関する交渉を打ち切る場合も同様である。合理的な根拠は、これらの要件のいずれかが満たされている可能性を示す具体的な証拠または複数の兆候を仲介業者が有し、追加の解明によっても疑いを払拭できない場合に存在する。弁護士および公証人は、その活動が職業上の守秘義務の対象となる限りにおいて、この義務に服さない(マネーロンダリング防止法(AMLA)第9条)。1 この義務と並んで、合理的な疑いの閾値に達しない観察については、SCC第305ter条第2項に基づく報告権が引き続き利用可能である。
2023年1月1日に施行された改正は、報告の効果を変更した。仲介業者は、もはや報告に際して資産を自動的に凍結する必要はない。凍結は、MROSが報告を訴追当局に送付した場合に初めて行われる。MROSが40営業日以内に情報を送付した旨を仲介業者に通知しない場合、仲介業者は取引関係を終了することができる。仲介業者は、終了について遅滞なくMROSに通知しなければならず、また内報の禁止を引き続き遵守しなければならない(AMLA第9b条)。2 MROSによれば、このような終了通知の件数は、2023年の2,669件から2024年には7,118件、2025年には7,770件に増加した。3 ルガーノの銀行にとって、この規定は報告のたびに実務上の選択を生じさせる。銀行は、強化されたモニタリングの下で取引関係を継続するか、40日の経過後にこれを終了するかを決定しなければならず、資金の流れが追跡可能であり続けるよう、資産がどのように銀行を離れるかを文書化しなければならない。
2020年以降の報告件数の増加
報告件数は、MROSが2020年1月にgoAML電子報告システムを導入して以来、急激に増加している。MROSが受理した報告は、2020年に5,334件、2021年に5,964件、2022年に7,639件、2023年に11,876件、2024年に15,141件であり、最後の年には1営業日あたり平均59件であった。4 2025年には件数は2万1,087件に達し、前年比39.3パーセントの増加、1営業日あたり平均82件となった。5 この増加にはいくつかの要因がある。そこには、2023年の報告閾値の明確化とAMLA第9b条の終了規定の利用に加え、暗号資産・デジタル資産に関するサービス提供者のような新たな範疇の報告主体の追加、オンライン投資詐欺の蔓延、そして後述する事件を受けた監督上の期待の全般的な厳格化が含まれる。1998年の設立時に4名の職員しかいなかったMROS自身は、2024年には約55名、2025年には常勤換算で約57名を擁していた。6
年 受理した報告 送付した事件 うちティチーノ州へ 2010 1,159 n/a n/a 2018 6,126 2,368 78 2022 7,639 1,232 n/a 2024 15,141 1,043 57 2025 21,087 1,375 47
この表は、MROSの2010年、2018年、2022年、2024年および2025年の年次報告書の数値を組み合わせたものである。7 送付した事件の数値は、年によって完全には比較できない。MROSはgoAMLの導入に伴って集計方法を変更し、現在では複数の報告をまとめ得る分析済みの事件を送付しているからである。2024年には、送付事件1件あたりの報告は平均1.9件であった。8
注
- AMLA第9条、https://www.droit-bilingue.ch/en-de/9/95/955.0-9-15.html(第1quater項は2023年1月1日施行)。 ↩
- AMLA第9b条、https://www.droit-bilingue.ch/en-de/9/95/955.0-9b-17.html(2021年3月19日の連邦法、AS 2021 656により挿入、2023年1月1日施行)。報告時の自動凍結から送付時の凍結(AMLA第10条)への置換えは、2021年の改正に基づいて要約したものである。第D.IV章も参照。 ↩
- Money Laundering Reporting Office Switzerland (MROS), Annual Report 2025 、連邦警察庁、2026年5月、26頁、https://www.fedpol.admin.ch/dam/en/sd-web/05JKPvNkIrsY/jb-mros-2025-e.pdf。 ↩
- MROS, Jahresbericht 2024 、fedpol、2025年、15頁、https://www.fedpol.admin.ch/dam/fedpol/de/data/kriminalitaet/geldwaescherei/jabe/jb-mros-2024.pdf.download.pdf/jb-mros-2024-d.pdf。 ↩
- MROS, Annual Report 2025(前掲)、16〜17頁。 ↩
- MROS, Jahresbericht 2024(前掲)、10頁;MROS, Annual Report 2025(前掲)、10頁。 ↩
- MROS, Rapporto d'attività 2010 、27頁、https://www.ejpd.admin.ch/dam/fedpol/it/data/kriminalitaet/geldwaescherei/jabe/jb-mros-2010-i.pdf.download.pdf/jb-mros-2010-i.pdf;MROS, Rapporto d'attività 2018 、https://www.bj.admin.ch/dam/fedpol/it/data/kriminalitaet/geldwaescherei/jabe/jb-mros-2018-i.pdf.download.pdf/jb-mros-2018-i.pdf;MROS, Rapporto annuale 2022 、https://www.ejpd.admin.ch/dam/fedpol/it/data/kriminalitaet/geldwaescherei/jabe/jb-mros-2022.pdf.download.pdf/jb-mros-2022-i.pdf;MROS, Jahresbericht 2024(前掲)、20頁;MROS, Annual Report 2025(前掲)、22頁。2025年の報告書は、2024年の送付事件の総数を1,046件としている。 ↩
- MROS, Jahresbericht 2024(前掲)、20頁。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。