ドバイとアブダビ:新たな重心
数値で見る成長
過去10年間に、ドバイほど地歩を固めた金融センターはない。2026年3月のグローバル金融センター指数(GFCI)において、ドバイは7位であり、6か月前より4つ順位を上げ、ロンドンを除くすべての欧州の金融センターを上回った。アブダビは28位から21位に上昇した。1 独自の民商事法、独自の裁判所、独自の規制当局であるドバイ金融サービス機構を有するフリーゾーン、ドバイ国際金融センター(DIFC)は、2025年について、活動中の登録会社が合計8,844社(28%増)、就業者数が5万200人であったと報告した。その中には、規制対象の金融サービス会社1,052社、500を超える資産運用・資産管理事業体、102のヘッジファンドが含まれていた。家族関連の事業体の数は61%増の1,289、家族財団の数は66%増の1,115となった。2 これらの数値は、DIFCがもはや国際的な銀行の地域拠点にとどまらず、富裕な家族が持株会社、財団、ファミリーオフィスのストラクチャーを設ける場所となったことを示している。
移住に関する推計も同じ方向を指している。Henley & Partnersは、2025年にアラブ首長国連邦へのミリオネアの純流入が9,800人に達すると予想した。これはあらゆる国の中で最も多く、スイスの3倍を超える数値である。同報告書は、その理由を、いわゆるゴールデンビザと呼ばれる同国の居住プログラムと、個人所得税がないことに帰している。3 ボストン・コンサルティング・グループは、アラブ首長国連邦で記帳されたクロスボーダー金融資産が2025年に11.1%増加し、スイスや香港よりも速く伸びたと報告した。4 これらの推計の精度がどうであれ、ドバイは、南アジア、中東、アフリカ、ロシア、そしてイタリアを含む欧州からの富の行き先となっている。
税、居住、法的環境
ドバイが富裕層に提供するものは、4つの要素に基づいている。アラブ首長国連邦は、個人所得税も相続税も課していない。2023年6月1日以降に開始する事業年度から9%の連邦法人所得税が適用されており、フリーゾーン事業体の適格所得には0%の税率が適用される。また、2025年からは大規模な多国籍企業グループに対する国内ミニマム・トップアップ税が適用されている。5 投資家、企業家、多額の資産を有する者は、5年または10年の長期居住ビザを取得することができる。DIFCとアブダビ・グローバル・マーケット(ADGM)は、コモン・ローに基づく法的環境を提供しており、その裁判所には主としてコモン・ロー法域出身の裁判官が配置されているため、国際的な家族とその助言者にとってなじみやすい。6 DIFC財団とADGM財団は、地域の家族資産にとって好まれるビークルとなっている。
アラブ首長国連邦は、2年間、金融活動作業部会(FATF)の強化監視の下に置かれた。同国は2022年3月4日にグレーリストに掲載され、同国当局がマネーロンダリングの捜査と訴追により積極的な姿勢を示し、監督枠組みを改善したとFATFが認めたことを受けて、2024年2月23日に削除された。7 欧州委員会は、2025年8月5日に発効した委任規則(EU)2025/1184により、アラブ首長国連邦を高リスク第三国リストから削除した。8 この経過はモナコの場合の鏡像である。欧州連合(EU)は、モナコをリストに追加したのと同じ規則で、首長国連邦を削除したのである。欧州の銀行および助言者にとって、首長国連邦に関係する顧客および取引について強化されたデューデリジェンスを行うことはもはや法律上求められていないが、多くの機関は、内部方針において同国を引き続き高リスクの法域として扱っている。
注
- GFCI 39(前掲)、表1。 ↩
- Dubai Media Office、「Dubai International Financial Centre announces landmark annual results for 2025」、2026年2月5日、https://www.mediaoffice.ae/en/news/2026/february/05-02/dubai-international-financial-centre-announces-landmark-annual-results-for-2025。 ↩
- Henley & Partners(前掲)。 ↩
- Private Banker International(前掲)。 ↩
- 法人および事業の課税に関する2022年連邦政令法第47号、ならびに2025年からの国内ミニマム・トップアップ税に関するその後の規則。 ↩
- ADGM、「ADGM Courts」、https://www.adgm.com/adgm-courts(イングランドのコモン・ローを直接適用し、主要なコモン・ロー法域の上級裁判官から裁判官を任用)。Wikipedia、「DIFC Courts」、https://en.wikipedia.org/wiki/DIFC_Courts(2004年ドバイ法第12号に基づき設立され、2006年から運営されている英語のコモン・ロー裁判所であり、イングランド・ウェールズ、スコットランド、オーストラリア、マレーシア、アラブ首長国連邦の裁判官を擁する。2026年10月閲覧、最終手段として使用)。 ↩
- Norton Rose Fulbright、「UAE removed from the FATF grey list」、2024年2月、https://www.nortonrosefulbright.com/en-in/knowledge/publications/eb06aa7c/uae-removed-from-the-fatf-grey-list。 ↩
- Stibbe(前掲)。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。