ヒンリョン(Hin Leong):巨大企業の崩壊
1963年にLim Oon Kuinがシンガポールで設立したHin Leong Tradingは、アジア最大級の独立系石油トレーダーの一つであった。11台のトラックから事業を始めた創業者は、勤勉と危険な賭けによって帝国を築き上げ、それによってトレーダーの間で伝説的な評判を得ていた。22020年4月17日、同社は40億ドル近い債務を再編するため、シンガポールの裁判所に支払猶予を申し立てた。3
その後、創業者は投資家に対し、同社が8億ドルの未申告の損失を被っていたこと、及び担保として質入れされていた石油が売却されていたことを明らかにした。4事情に詳しい関係者によれば、同社は正当な事業と並行して仮装取引を作り出すことにより数値を水増しし借入を増やしており、その結果、銀行は同一の資産に対する債権、場合によっては存在しなかった積荷に対する債権を保有することになった。5
銀行その他の債権者に対するHin Leongの債務は約35億ドルに上り、20を超える貸手が影響を受けた。6最大の債権者であるHSBCのエクスポージャーは6億ドル、ABN Amroは3億ドル、Standard Charteredは2億4,000万ドルであった。72020年第1四半期、HSBCは石油トレーダーに対する20億ドルのエクスポージャーについて多額の引当金を計上した。8
2024年5月、創業者はシンガポールの裁判所により、HSBCに対する詐欺2件及び偽造教唆1件について有罪とされた。検察は、同人が、自社が2社との間で石油売買契約を締結したと表示することにより、同行に1億1,200万ドル近くを支払わせたと主張した。実際には、これらの取引は偽造書類に裏付けられた完全な捏造であった。同人は合計130件の訴因に問われ、最長10年の禁錮刑に処される可能性があった。9
要点。アジア最大級の石油トレーダーの一つであったHin Leongは、8億ドルの損失を隠蔽し、質入れされた石油を売却し、仮装取引を作り出した末に、2020年4月、40億ドル近い債務を抱えて破綻した。その創業者は2024年、架空の契約によってHSBCを欺いたとして有罪判決を受けた。
注
- 「Covid-19: Singapore’s legendary oil trader in debt trap as oil price plunge」、Business Standard、2020年4月27日。↩
- AFP(Malay Mail経由)、2024年5月10日、前掲。↩
- Business Standard、2020年4月27日、前掲。↩
- 「ABN Amro to exit trade and commodity finance after losses」、Global Trade Review、2020年8月12日。↩
- Global Trade Review、2020年8月12日、前掲。↩
- 「5 topics that shaped trade finance in 2020」、Global Trade Review、2021年1月6日。「BNP shuts Swiss commodity trade finance team amid frauds」、Bloomberg(AJOT経由)、2020年9月23日。↩
- Business Standard、2020年4月27日、前掲。↩
- 「SocGen shuts Singapore trade commodity desk after Hin Leong」、Bloomberg、2020年8月1日。↩
- AFP(Malay Mail経由)、2024年5月10日、前掲。↩
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