简体 繁體 日本語 한국어 Bahasa Indonesia Русский Українська English Deutsch Français Español Português Tiếng Việt Türkçe العربية עברית

バーゼル地域で多言語契約が生じる理由

バーゼルにおける多言語契約の最も目に見える源泉は、ライフサイエンス産業である。Roche、Novartis および地域の多くのバイオテクノロジー企業は、米国、アジアおよび欧州のその他の地域のパートナーとの間で特許、ノウハウおよび化合物のライセンスを供与し、また受けており、その結果生じるライセンス契約、研究協力契約および供給契約は、ほぼ例外なく英語で作成される。それでもスイスのライセンサーは、特定の書類についてドイツ語版またはフランス語版を必要とすることがある。例えば、契約を当局に提出しなければならない場合、職務発明が関わる場合、あるいはドイツ語圏またはフランス語圏の法域の裁判所が紛争において契約を審査しなければならない場合である。本書第G部では、こうしたライセンス活動の規模について述べた。1

銀行業は、多言語の契約書類の第二の大きな集積を生み出している。ドイツ、フランスおよびさらに遠方のプライベートクライアントにサービスを提供するスイスの銀行は、普通取引約款、保護預り規程、口座開設書式および与信契約を複数の言語で発行している。これらの書類は通常、齟齬がある場合には一つの言語版(バーゼルではしばしばドイツ語版)が優先する旨を定めている。バーデンおよびアルザスの企業に対する越境融資、化学産業のための貿易金融、そして国際決済銀行(BIS)とその中央銀行顧客との契約書類は、さらなる層を加える。各取引相手は、自らの言語または英語による書類を期待することがあるからである。2

雇用は第三の分野である。毎日数万人の越境通勤者が、アルザスおよび南バーデンからバーゼル=シュタット州(カントン)およびバーゼル=ラントシャフト州の職場に通っている。彼らの雇用契約は大半がスイス法を準拠法とするが、従業員は他の多くの点でフランス法またはドイツ法の下で生活している。彼らの社会保障、課税および家族関係は、その契約を本国の法制度と結び付ける。バーゼルの使用者がフランスの居住者を雇用する場合、契約をフランス語で作成しなければならないか、ドイツ語版で足りるか、どの版が優先するかという問題は、本章の後の節が示すとおり、実務上重要である。3

不動産は第四の分野である。バーゼルの投資家や個人はアルザスおよびバーデンで住宅、マンションおよび商業用不動産を購入し、他方でフランスおよびドイツの居住者が、外国人による不動産取得に関する連邦法の制限の範囲内で、時折バーゼルの両州で不動産を取得する。フランスでの土地購入はフランスのノテール(notaire)の面前でフランス語により締結される。ドイツでの購入はドイツの公証人の面前で行われ、公証人は証書をドイツ語で作成するか、公証法の要件が満たされる場合には他の言語で作成する。バーゼルでの購入はバーゼルの公証人の面前でドイツ語により行われる。証書の言語を習得していない買主は翻訳と通訳に頼ることになり、その役割については法律が詳細に規律している。4

最後に、あらゆる種類の取引や企業取引がドライラント(三国国境地域)の国境を越えている。バーデンの同族企業が関わる M&A、フランスのパートナーとの合弁事業、消費財の販売店契約、ライン川の港湾のための物流契約は、いずれも異なる言語で考え交渉する当事者を伴う。英語は、英語を母語とする当事者がいない場合であっても、これらの取引の多くにおいて中立的な言語となっている。一方の側が自らの言語と法文化を他方に押し付けたという印象を避けられるからである。もっとも、この中立性は部分的には幻想である。英語の法律用語は、スイス法、ドイツ法またはフランス法を準拠法とする契約にコモン・ローの概念を持ち込むからであり、この問題は後の節で検討する。5

注

  1. バーゼルのライフサイエンス・クラスターにおけるライセンス契約および共同研究契約については、本書第G部を参照。製薬グループの作業言語としての英語の使用については、本部第3章を参照。要確認。 ↩
  2. バーゼルからの越境銀行業務については、本書第E部を参照。スイスの銀行が普通取引約款において優先する言語版を指定する実務は一般的であるが、金融機関によって異なる。要確認。 ↩
  3. バーゼル地域の越境通勤者については、本書第H部第2章を参照。越境通勤者の数は、連邦統計局がその越境通勤者統計において四半期ごとに公表している。数値要確認。 ↩
  4. スイスにおける外国人による不動産取得については、外国人による不動産取得に関する連邦法(Lex Koller、SR 211.412.41)を参照。ドイツにおける外国語の証書については、Beurkundungsgesetz 第5条および第16条を参照。要確認。 ↩
  5. 国際契約におけるリンガ・フランカとしての英語、および大陸法の契約へのコモン・ロー概念の持込みについては、「contracts in English under civil law」に関する比較法文献を参照。具体的な文献名要確認。 ↩

本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。

スイスでの会社設立や事業拡大をご検討ですか?

Helvetica Register は情報ポータルです。世界各地、とりわけ中華圏、中央アジアおよびコーカサス、その他のアジア、中東、アフリカおよびラテンアメリカの企業と起業家がスイスでビジネスを行ううえで知っておくべき事項――会社法、商取引契約、許認可、銀行、税務および居住――を解説しています。

スイスにおける法律相談は Ressos Legal が承ります。Ressos Legal は Dr Alexander Ressos が率いるチューリッヒの法律事務所で、スイス法の全分野について助言を行っています。詳しくは www.ressos.ch をご覧ください。

スイスでのプロジェクト Dr Alexander Ressos に相談する 会社設立、株主間契約および商取引契約、企業買収、許認可、銀行口座、税務、滞在許可:私はスイス法について助言を行い、ご本国の弁護士のほか、必要に応じて他の法域の現地弁護士とも連携いたします。