「スイス・フィニッシュ」論争
「スイス・フィニッシュ」という用語は、通常、銀行部門と結び付けて用いられる。銀行部門において、スイスは大手銀行に対しバーゼルの最低基準を上回る資本要件を課した。保険においては、比較の対象となる国際的な最低基準が存在しないため、議論は異なる形をとる。比較はソルベンシーIIとの間で行われ、スイスの保険会社は長年にわたり、スイス・ソルベンシー・テスト(SST)が欧州の対応する制度よりも厳格な要件を課していると主張してきた。1 その主張は、とりわけ金利リスクの取扱い、長期保証措置の不存在、国債の取扱い、および経過措置の欠如に関するものである。ソルベンシーIIの下では、自国通貨建ての欧州の国債は、標準式においてスプレッド・リスクについての資本賦課の対象とならない。これに対し、SSTは、ソブリン・エクスポージャーの信用リスクを、その実際のリスクにより整合的な形で取り扱っている。
業界はまた、SST比率の変動性や、欧州の子会社を有するグループにとってSST比率とソルベンシーII比率の双方を算定する負担も指摘してきた。他方、スイス金融市場監督機構(FINMA)は、SSTが経済的実態をより正確に捕捉していること、SSTがリスクベース監督の先駆者であったこと、そして変動性を抑制する人為的な措置が存在しないことが、スイスの保険会社が早期にその強靭性を強化するのに役立ったことを強調してきた。2 2024年の改正は、変動性を軽減する一定の仕組みを認める可能性や、モデルの使用における柔軟性の拡大など、いくつかの調整を導入した。これにより、SSTは特定の点でソルベンシーIIに近づいた。
この議論は、本書のより広いテーマを示している。欧州連合(EU)の外にある金融センターとして、スイスは、市場アクセスと同等性を確保するためにその規制を欧州の基準に合わせるか、それともより適切と考える独自の規則を維持するかを、繰り返し決定しなければならない。保険においては、ソルベンシーIIに先立ってSSTを開発するという決定が、欧州の議論に対する一定の影響力をスイスに与えた。これは、スイスの規制上の革新がその後国際的な基準に反映された稀な例である。
注
- ソルベンシーIIと比較したSSTに関する業界の立場については、スイス保険協会(SVV)の意見表明および大手保険会社の報告書を参照。銀行における「スイス・フィニッシュ」という用語については、本書第F部を参照。要確認。 ↩
- SSTおよびそのソルベンシーIIとの比較に関するFINMAの見解については、FINMAの年次報告書および保険を担当するFINMA業務執行役員会メンバーの講演を参照。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。