クレディ・スイス後の改革課題
前章では、クレディ・スイス(Credit Suisse)の買収に続くUBSの自己資本要件をめぐる議論を述べた。監督の観点からは、改革の課題はさらに広範に及ぶ。銀行法(BankA)は、連邦参事会に対し、「大きすぎて潰せない」制度を定期的に見直し、議会に報告することを義務付けている。連邦参事会が2024年4月に公表した報告書は、クレディ・スイスの破綻以来初の包括的な評価であり、予防、流動性および危機管理を対象としていた。1
予防に関する提案のうち、三つは監督に直接関わるものである。第一は、前節までで論じた機関に制裁金を科す権限である。第二は上級管理職制度であり、これにより銀行は業務執行役員会の構成員および主要機能の責任者の責任を定義し文書化しなければならなくなる。こうした制度は、各領域の責任が事前に記録されるため、違反を個人に帰属させることを容易にする。この制度は、2016年に導入された英国の上級管理者・認証制度に倣ったものである。第三は報酬に関するものであり、重大な失敗が明るみに出た場合に銀行が変動報酬を減額し、または返還を求めることを可能にする規則である。2 スイス金融市場監督機構(FINMA)はまた、早期介入のためのより明確な権限を得て、銀行が最低自己資本要件に違反する前に行動できるようになる。
これと並行して、議会は、スイスにおける議会による監視の最も強力な手段である議会調査委員会を通じて、一連の出来事を調査した。連邦議会がこうした委員会を設置することはまれであり、最もよく知られているのは1980年代末の秘密ファイル事件におけるものであったから、これは20年以上ぶりの議会調査委員会であった。同委員会は2024年12月に報告書を公表した。3 公表された要約によれば、同委員会は、FINMAが長年にわたりクレディ・スイスの弱点を認識しながら、同行の進路を変える措置を講じなかったと認定した。同委員会はとりわけ、親銀行が自己資本をより有利に示すことを可能にした規制上の緩和措置を批判した。同委員会はまた、当局間の情報の流れが必ずしも意図どおりに機能していなかったと認定した。同委員会は連邦参事会と議会に勧告を行い、その多くは銀行の安定性に関する報告書の提案と一致していた。4
2025年6月、連邦参事会は課題の一部を具体的な提案に落とし込んだ。一部の措置は、連邦参事会が自らの権限で行い得る命令の改正によって導入することができた。その他の措置は銀行法の改正を必要とし、したがって議会の承認を要した。危機時に国立銀行が連邦の債務不履行保証の下でシステム上重要な銀行に貸し付けることができる公的流動性バックストップに関する立法提案は、議会において独自の経路をたどった。5 本書執筆時点で議会審議は完了していなかったため、改革の最終的な形はなお未確定である。
これらの改革は、機関を制裁する手段を有し、失敗について責任を負う個人を特定できる監督当局をもって、スイスの監督を英国および欧州連合(EU)のモデルに近づけることになろう。これらの改革はまた、クレディ・スイスの事例が教えた教訓にも応えるものである。規則は存在し、監督当局は問題を把握していたが、規則も手段も、大手銀行の行動を適時に変えるには十分でなかったのである。
注
- 「大きすぎて潰せない」制度を見直し議会に報告する連邦参事会の義務(銀行法第52条)および2024年4月10日の銀行の安定性に関する同参事会の報告書については、連邦財務省の公表資料を参照。要確認。 ↩
- 2024年4月の連邦参事会報告書およびその後の提案における上級管理職制度(説明責任制度)、変動報酬に関する規則(繰延べ、マルスおよびクローバック)ならびにFINMAの早期介入権限の強化の提案については、連邦財務省の公表資料を参照。状況は要確認。 ↩
- 2023年に設置された、クレディ・スイスとUBSの緊急合併に関連する当局の行動についての議会調査委員会(PUK)および2024年12月に公表されたその報告書については、連邦議会の公表資料を参照。状況は要確認。 ↩
- PUK報告書の主な認定(FINMAによるクレディ・スイスの監督の評価、親銀行に付与された規制上のフィルター、FINMA、スイス国立銀行(SNB)および連邦財務省の間の協力)およびその勧告については、連邦議会が公表した報告書および要約を参照。状況は要確認。 ↩
- 2025年6月の連邦参事会の提案(自己資本令の改正および銀行法改正の意見聴取草案)ならびに公的流動性バックストップに関する教書については、連邦財務省および連邦議会の公表資料を参照。状況は要確認。 ↩
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