2020年のノバルティスの和解
近年、バーゼルのグループが関与した執行事件のうち最も重要なものは、Novartisに関するものであった。2020年6月、Novartis AGならびに複数の現在および過去の子会社は、海外腐敗行為防止法(FCPA)に関して米国司法省および米国証券取引委員会との間で解決に至った。公式発表によれば、これらの事案は、ギリシャ、韓国およびベトナムにおける子会社の行為、ならびにNovartisが2019年にスピンオフした眼科事業Alconのベトナムにおける行為に関するものであった。ギリシャ子会社Novartis HellasおよびAlcon Pte Ltdは、司法省と訴追延期合意を締結した。米国当局に支払われる総額は約3億4,500万米ドルとされた。Novartisは、当該行為は旧経営陣の下で行われたものであり、コンプライアンス・プログラムを強化したと表明した。1
2020年7月、米国子会社であるNovartis Pharmaceuticals Corporationは、講演者プログラムに関する虚偽請求法(False Claims Act)および関連法に基づく民事および刑事の請求を解決するため、約6億7,800万米ドルを支払うことに合意した。当局は、同社が講演者イベント(その一部はレストランで開催され、教育的内容に乏しいものであった)を利用して、医師に自社医薬品の処方を誘引したと主張していた。同月、同社はさらに、患者の自己負担分を賄う慈善財団への寄付に関する申立てを解決するため、約5,100万米ドルを支払うことに合意した。Novartisは、保健福祉省監察総監室との間で企業誠実性合意(corporate integrity agreement)を受け入れた。同社はこれらの事案を過去から引き継いだ問題と説明した。2
ギリシャでは、この事案は政治的な展開を見せた。2018年に議会委員会が政治家が支払を受けたとの疑惑を審査した後、報道によれば、名指しされた人物の大半に対する手続は打ち切られた。その後、当初の疑惑における証人および検察官の役割について捜査が行われた。これらのギリシャの手続は、本書の範囲を超える国内政治および手続上の問題に関するものであった。しかしそれは、ある国でのコンプライアンス事件が、企業としての解決の後も長年にわたり続く公共の論争となり得ることを示している。ここでの記述は、米国の公式情報源および同社自身が公表した内容に限定している。3
Novartisの事件は、現代の執行のいくつかの特徴を示している。これらの事件は、外国市場における贈賄禁止法と米国国内市場における医療詐欺法とを組み合わせ、刑事手続と民事手続の双方を含んでいた。また、承継者責任の重要性も示した。Alconは解決に至った時点ですでに独立した上場会社であったが、Novartisグループに属していた期間に生じた行為はなお解決を要したのである。本部の第I章および第II章で論じたスピンオフや買収などの取引においては、その後、コンプライアンス・デューデリジェンスが標準的な要素となった。買主やスピンオフされた会社は補償を求め、取引の完了時点でいかなる調査が係属しているかを知ろうとする。4
注
- US Department of Justice、2020年6月25日付プレスリリース「Novartis AG and Subsidiaries to Pay More Than $233 Million to Resolve Foreign Corrupt Practices Act Charges」、SEC、Novartis AGに対する和解命令に関する2020年6月25日付プレスリリース、Novartis AG、2020年6月25日付メディアリリース。数値は要確認。↩
- US Department of Justice, Southern District of New York、講演者プログラムに関するNovartis Pharmaceuticals Corporationとの和解についての2020年7月1日付プレスリリース、US Department of Justice、自己負担支援財団に関する和解についての2020年7月1日付プレスリリース、Novartis AG, Annual Report 2020。数値は要確認。↩
- 疑惑に関するギリシャの議会手続および司法手続については、国際通信社の報道およびギリシャ議会の刊行物を参照。手続状況は複雑であり、時間とともに変化してきた。現状は要確認。↩
- FCPA事案における承継者責任については、FCPA Resource Guide(第2版、2020年)の合併・買収に関する章を参照。2019年4月のAlconのスピンオフについては、本部の第I章を参照。要確認。↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。