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実験室及び観察者としてのBIS

国際決済銀行(BIS)は、三つの方向から人工知能に取り組んでいる。その金融経済局は、この技術の経済的影響及び金融政策と金融安定にとっての含意を分析している。第F部第IV章でその構造を述べたBISイノベーション・ハブは、この技術を中央銀行及び監督当局の任務に応用するプロトタイプを構築している。バーゼルに置かれた各委員会は、この技術がそれぞれの監督又は監視の対象である機関にどのような影響を及ぼすかを検討している。1

BISの見解の最も包括的な表明は、Annual Economic Report 2024 の第III章として「Artificial intelligence and the economy: implications for central banks」の表題の下に掲載された。同章は、この技術が経済全体の生産性を高め得ること、金融システムの機能を変えるであろうこと、及び中央銀行は自らそれを利用すると同時に、そのための専門知識とデータ・インフラを構築すべきであることを論じた。同章はまた、中央銀行が知識とツールの共有において協力することを求めており、BISはその当然のプラットフォームとして自らを提示した。2 その後の数年間、BISは、中央銀行業務における大規模言語モデルの利用、人工知能がインフレ及び労働市場に及ぼす影響、並びに中央銀行内部におけるAIのガバナンスに関するさらなる論文を公表した。BISはまた、中央銀行が経験を交換するための実践コミュニティを設けた。3

イノベーション・ハブのいくつかのプロジェクトは、この技術を直接応用している。2023年にその成果が公表されたProject Auroraは、複数の金融機関及び国のデータを組み合わせた場合に、機械学習とプライバシー強化技術によってマネーロンダリングのネットワークをより効果的に検出できるか否かを検証した。合成された決済データを用いて、このプロジェクトは、金融機関を横断するネットワーク分析が、個々の銀行によるモニタリングよりもかなり多くの疑わしい活動を特定し、しかも誤検知が少ないことを見出した。4 Project Gaiaは、大規模言語モデルを用いて企業の報告書から気候関連データを抽出した。監督当局は、銀行のポートフォリオにおける気候リスクを評価するためにそうしたデータを必要としている。その他のプロジェクトは、サイバー・レジリエンス、金融犯罪のための決済データの分析、及びインフレ分析のための価格データの分類への生成モデルの利用を扱った。5

バーゼル委員会及び金融安定理事会は、監督の側からこの問題に取り組んできた。バーゼル委員会は2024年に金融のデジタル化に関する報告書を公表し、人工知能、クラウド・コンピューティング及び大手テクノロジー企業の参入が銀行とその監督当局にもたらすリスクを検討した。6 金融安定理事会は、2024年11月に人工知能の金融安定上の含意に関する報告書を公表した。同報告書は、第三者への依存とサービス提供者間の集中、類似のモデル及びデータの利用による市場の相関、サイバーリスク、並びにモデル・リスクを主な脆弱性として特定する一方、当局がそれらを監視するために利用できるデータの欠落を指摘した。7 これらの刊行物は、他の点では米国及び中国のテクノロジー企業とブリュッセルの立法者に支配されている議論において、バーゼルに発言の場を与えている。

注

  1. BIS及びイノベーション・ハブの組織については、第F部第I章及び第IV章を参照。要確認。 ↩
  2. BIS, Annual Economic Report 2024, Basel, June 2024, Chapter III, "Artificial intelligence and the economy: implications for central banks"。要確認。 ↩
  3. 2024年以降に公表された中央銀行業務におけるAIに関する BIS Papers 及び BIS Working Papers。BISイノベーション・ハブのAI関連プロジェクトに関する報告書。状況は要確認。 ↩
  4. BIS Innovation Hub Nordic Centre, Project Aurora: the power of data, technology and collaboration to combat money laundering across institutions and borders, May 2023。第E部第III章も参照。要確認。 ↩
  5. BISイノベーション・ハブ、Project Gaiaの報告書(2023年及び2024年)。Project Raven、Project Hertha及びProject Spectrumに関する報告書。名称、日付及び成果は要確認。 ↩
  6. Basel Committee on Banking Supervision, Digitalisation of finance, May 2024。要確認。 ↩
  7. Financial Stability Board, The Financial Stability Implications of Artificial Intelligence, 14 November 2024。要確認。 ↩

本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。

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