バーゼルの協議の場に着くスイス
バーゼル銀行監督委員会が創設されたとき、スイスはその場にいた。1974年末、ケルンのヘルシュタット銀行とニューヨークのフランクリン・ナショナル銀行の破綻を受けて、10か国グループ(G10)の中央銀行総裁は、銀行規制・監督実務に関する常設委員会を設置した。その構成員は、G10諸国ならびにスイスおよびルクセンブルクであり、各国の中央銀行、そして二つの機能が分離している場合には銀行監督当局によって代表された。スイスは、スイス国立銀行(SNB)と連邦銀行委員会を通じて参加した。1当時、スイスはまだG10の正式な構成員ではなく、1960年代からそのグループの作業に関与していたものの、正式に加盟したのは1984年になってからであった。2
Goodhartが再構成した同委員会の初期の歴史は、大規模な国際銀行と銀行守秘の伝統を有する金融センターの利益を擁護するスイス代表団の姿を明らかにしている。銀行の外国拠点の監督に関する1975年のコンコルダットは、受入国が保有する情報への母国監督当局のアクセスという問題を提起し、これはスイスの守秘規定に直接関わるものであった。1988年の最初の自己資本合意をめぐる交渉において、スイス代表団は、英米の主導が、ロンドンやニューヨークの大手商業銀行とは異なるビジネスモデルを持つ銀行を不利にしてはならないという、他の大陸欧州の構成員の懸念を共有していた。3
2009年にスイス金融市場監督機構(FINMA)が創設されて以来、同委員会におけるスイスの議席はSNBとFINMAが占めている。同委員会の構成は2009年にG20の構成国その他いくつかの法域に拡大され、これにより小規模な欧州の構成員の相対的な比重は低下した。それでもスイスは、バーゼル委員会、金融安定理事会、グローバル金融システム委員会および決済・市場インフラ委員会への加盟と受入国としての役割とを兼ね備えた数少ない国の一つであり続けている。スイスの当局者は、これらの機関の作業部会やタスクフォースの議長を務めてきた。SNBは、第D部第V章で述べたとおり、1930年の国際決済銀行(BIS)の設立以来、その取締役会に代表を送っている。4
基準への影響力にとどまらず、加盟はスイス当局に国際的な政策の方向性についての早期の知見を与え、基準が最終化される前に行動することを可能にした。最も明確な例はレバレッジ比率である。2008年末、バーゼル委員会がリスク加重された所要自己資本に対するリスクに基づかない安全装置について議論を始めたばかりの頃、連邦銀行委員会は、UBSとCredit Suisseに対しグループ・レベルおよび単体レベルでレバレッジ比率を満たすよう求めると発表した。スイスの要件は、バーゼル委員会がバーゼルIIIにおいてレバレッジ比率を、まず開示要件として、次いで欧州での実施においては2018年から、他の地域ではその後に、拘束力ある最低基準として導入するより何年も前に施行されていた。5スイス当局は、UBSが2008年以前に余裕のあるリスク加重比率を報告していた一方で、そのバランスシートが自己資本では支えきれない規模にまで膨張していたことを観察していた。その経験から教訓を引き出し、スイス当局は国際的な委員会よりも速く動いたのである。
注
- 1974年末のG10総裁による銀行規制・監督実務委員会の設立とその当初の構成員については、Charles Goodhart, The Basel Committee on Banking Supervision: A History of the Early Years 1974–1997 (2011), 第2章を参照。要確認。 ↩
- 1964年以降の一般借入取決めへのスイスの参加と1984年の10か国グループへの正式加盟については、SNBおよび国際通貨基金(IMF)の刊行物を参照。要確認。 ↩
- 1975年のコンコルダットおよびその1983年の改訂、ならびに1988年のバーゼル自己資本合意をめぐる交渉におけるスイス代表団の立場については、Goodhart, The Basel Committee on Banking Supervision (2011)のコンコルダットおよび自己資本充実に関する各章を参照。要確認。 ↩
- バーゼル委員会におけるSNBおよびFINMAの加盟、ならびに2009年の同委員会の構成員の拡大については、BISが公表する構成員一覧を参照。BIS取締役会におけるSNBの議席については、BIS年次報告書を参照。要確認。 ↩
- 2008年末に連邦銀行委員会がUBSおよびCredit Suisseに導入したレバレッジ比率(グループ・レベルでの最低水準と単体レベルでのより高い最低水準。経過期間後に充足)、ならびにその後のバーゼルIIIにおけるレバレッジ比率の導入(2010年12月、2014年1月および2017年12月に最終化)については、連邦銀行委員会およびBISの刊行物を参照。数値は要確認。 ↩
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