監督とデータ:パイン、アトラス及びオーロラ
ハブのすべてのプロジェクトが支払に関するものではない。プロジェクト・パインは、ニューヨーク拠点がニューヨーク連邦準備銀行とともに実施したものであり、中央銀行がトークン化されたプラットフォーム上で金融政策を実施するために、たとえば準備預金への付利や公開市場操作を行うために利用できるスマートコントラクトのツールキットを開発した。その根底にある問いは、金融取引のかなりの部分がプログラム可能な台帳に移行した場合に、中央銀行がその運用能力を保持できるかというものであった。同プロジェクトが示した答えは、主要なオペレーションの実現可能性を実験室環境で示すプロトタイプであった。1
プロジェクト・アトラスは、ユーロシステム拠点がオランダ銀行およびドイツ連邦銀行とともに実施したものであり、暗号資産取引所のデータとパブリック・ブロックチェーン上に記録されたデータを組み合わせ、暗号資産の国境を越える流れと伝統的金融システムとの結び付きを測定した。同プロジェクトは、そのような流れが従来の多くの推計が想定していたよりも大きいことを示した。監督当局および金融安定理事会(FSB)にとって、同プロジェクトは、いかなる中央当局にも報告を行わない市場を監視するための手法を提供した。FSBの暗号資産に関する取組みは第F部第IV章が記述したとおりである。2
プロジェクト・オーロラは、北欧拠点が実施したものであり、合成された支払データにネットワーク分析と機械学習を適用し、複数の機関および国のデータを共同で分析した場合にマネーロンダリングの検出が改善されるかを検討した。同プロジェクトは、プライバシー強化技術によって保護された共同分析は、各機関のデータを個別に分析する場合に比べて、はるかに多くの疑わしいネットワークを特定し得ると結論付けた。第E部第III章は、暗号資産とマネーロンダリング防止を論じた際にこのプロジェクトに言及した。以下のシナリオにおいてこのプロジェクトが意味を持つのは、完全な取引履歴を伴うトークン化された通貨が、金融犯罪の検出手法を変革し得るからである。3
注
- BIS Innovation Hub New York centre and Federal Reserve Bank of New York, Project Pine: Smart Contracts for Central Banks、最終報告書(2024年または2025年)。日付および知見は要確認。 ↩
- BIS Innovation Hub Eurosystem centre, De Nederlandsche Bank and Deutsche Bundesbank, Project Atlas: Mapping the World of Decentralised Finance、報告書(2023年)。要確認。第F部第IV章を参照。 ↩
- BIS Innovation Hub Nordic centre, Project Aurora: The Power of Data, Technology and Collaboration to Combat Money Laundering across Institutions and Borders, 2023年5月。第E部第III章を参照。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。