社会保障の調整
労働者が国境を越える際に社会保障上の権利を失うのであれば、人の自由移動はほとんど役に立たないであろう。そのため、人の自由移動に関する協定(AFMP)の附属書IIは、社会保障制度の調整に関する欧州の規則をスイスに及ぼしている。2012年4月1日以降、これらの規則は規則(EC)No 883/2004およびその施行規則である規則(EC)No 987/2009であり、これらは従前の規則(EEC)No 1408/71に取って代わった。1これらの規則は各国の制度をそのまま維持しつつ、いずれの国の制度がある者に適用されるかを決定し、平等取扱いを確保し、異なる国で満たされた保険期間を通算する。
基本原則はlex loci laboris(就労地法)である。ある国で働く者は、他国に居住している場合であっても、その国の社会保障法令の適用を受ける。したがって、レラハに居住しバーゼルで雇用されている越境通勤者は、スイスの老齢・遺族保険(AHV)、障害保険および失業保険に加入する。雇用主は、居住者である被用者の場合と同様に、スイスの保険料を給与から控除し、雇用主負担分を支払う。2職域老齢・遺族・障害年金に関する連邦法に基づく職域年金も就労地に従う。加入は、法定の基準額を超えるスイスの雇用主による雇用に依存するからである。
ある者が複数の国で働く場合、この原則は複雑になる。同規則第13条は、二以上の加盟国で被用者として活動する者は、居住国でその活動の相当部分を行う場合には居住国の法令の適用を受けると定めている。施行規則は、相当部分を労働時間または報酬の25%以上と定義している。32020年以前は、ほぼもっぱら雇用主の事業所で働いていたバーゼルへの通勤者にとって、この規則が問題となることはまれであった。在宅勤務の普及がこれを変えた。アルザスまたはバーデンの自宅から週2日働く通勤者は、労働時間の40%を居住国で過ごすことになり、一般原則によれば居住国で保険に加入しなければならなくなるからである。
その帰結は、すべての当事者にとって望ましくないものとなろう。スイスの雇用主は、フランスまたはドイツの社会保障制度に登録し、はるかに高いフランスまたはドイツの料率で保険料を支払い、外国の手続規則を遵守しなければならなくなる。パンデミックの間、各国はこの規則の適用を停止し、在宅勤務によって適用法令が変更されるべきではないことに合意した。4例外期間が2023年6月30日に終了したとき、恒久的な解決策が必要となった。
注
- Regulation (EC) No 883/2004 of the European Parliament and of the Council of 29 April 2004 on the coordination of social security systems, OJ L 166, 30.4.2004, p. 1、およびRegulation (EC) No 987/2009。AFMP附属書IIに基づき2012年4月1日以降スイスとの関係で適用されている。要確認。↩
- 規則(EC)No 883/2004第11条第3項a号。第1の柱における越境通勤者に対するスイスの雇用主の義務については、中央補償機関およびAHV/IV情報センターの刊行物を参照。要確認。↩
- 規則(EC)No 883/2004第13条第1項a号、規則(EC)No 987/2009第14条第8項(25%の相当部分の活動)。要確認。↩
- 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック中(2020年~2023年)の在宅勤務について社会保障制度調整行政委員会およびスイス当局が採択した暫定措置については、連邦社会保険庁(FSIO)の刊行物を参照。要確認。↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。