国境を越える買物ツーリズム
逆方向の流れは、ドイツやフランスで買い物をするスイスの消費者である。食料品、衣料品、化粧品および家庭用品の価格は近隣諸国の方がかなり低く、そのため多くのバーゼル住民がレラハ、ヴァイル・アム・ライン、サン=ルイで定期的に買い物をしている。国境付近の大型ショッピングセンターは、レラハ中心街の多くの小売店と同様に、スイスの顧客に大きく依存している。1 スイスの居住者が外国の店舗で支出する総額の推計は、スイス全体で年間数十億スイスフランに達しており、その大きな部分がバーゼルのような国境地域に帰属する。
買い物ツーリズムの法的基礎は、二つの規定群にある。ドイツ側では、欧州連合(EU)域外に居住する者が身の回り品として商品を輸出する場合、ドイツの付加価値税の還付を受けることができる。購入者は店舗から輸出証明書(Ausfuhr- und Abnehmerbescheinigung)を受け取り、商品がEUを出る前に国境でドイツ税関の押印を受けなければならない。2 2020年1月1日以降、還付には50ユーロを超える最低請求額が必要とされている。これは国境での少額購入による事務負担を抑えるために採用された規定である。バーゼル近郊の国境検問所にあるドイツの税関は、これらの証明書を大量に処理しており、証明書は近年部分的に電子化されている。3
スイス側では、個人使用目的の商品の輸入は、1人1日当たりの価額上限まではスイスの付加価値税が免除される。長年にわたり、この上限は300スイスフランであった。連邦参事会は、2025年1月1日付でこれを150スイスフランに引き下げることを決定した。これはスイスの小売業界および複数の州が求めていた措置である。4 上限を超える商品は申告しなければならず、その場合には総額に対してスイスの付加価値税が徴収される。食肉、酒類およびたばこには、さらに数量上の上限が適用され、一定量を超えると関税が課される。スイスの税関当局、現在の連邦関税・国境警備局は、旅行者による商品申告のためのモバイルアプリケーションを開発している。5
ドイツの付加価値税還付とスイスの付加価値税免除の組合せにより、上限内でドイツにおいて購入された商品は、両国で付加価値税が課されないことになる。この二重の免除は強い誘因を生む。本編第III章では、輸出管理および制裁の執行における役割を含め、バーゼル国境における税関検査をより広く検討する。6 買い物ツーリズムはまた、税法と価格水準の差が、公式の貿易統計では部分的にしか捕捉されない国境を越えた商品と資金の流れを生み出すことを示している。
注
- スイスから近隣諸国への買い物ツーリズムの規模、およびレラハ郡の小売業者にとってのスイスの顧客の重要性については、スイスの小売業団体が公表した調査、GfKの市場調査、およびIHK Hochrhein-Bodenseeの公表資料を参照。数値は要確認。 ↩
- EU域外居住者の身の回り品としての輸出に対する非課税に関するドイツ付加価値税法(UStG)第6条第3a項、および付加価値税適用通達(UStAE)の関連規定。要確認。 ↩
- 2019年12月12日の法律により導入された50.01ユーロの最低額、および輸出証明書手続の電子化については、ドイツ連邦財務省および連邦関税総局(Generalzolldirektion)の公表資料を参照。現状は要確認。 ↩
- 少量の商品の非課税輸入に関する連邦財務省令(SR 641.204)第1条第2項b号。2025年1月1日付で価額上限を300スイスフランから150スイスフランに引き下げる連邦参事会の決定により改正。現状は要確認。 ↩
- 食肉、酒類およびたばこの数量上限、および商品申告用アプリ「QuickZoll」については、連邦関税・国境警備局(FOCBS)の公表資料を参照。要確認。 ↩
- 国境における税関、輸出管理および制裁については、第H編第III章を参照。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。