重要な公的地位を有する者と不正資産
重要な公的職務に就いている者またはかつて就いていた者である政治的に重要な人物、ならびにその家族および近しい関係者は、特有の汚職リスクにさらされている。資金洗浄防止法(AMLA)は、金融仲介業者に対し、外国の政治的に重要な人物との取引関係を、いかなる場合にも高リスクのものとして扱うことを求めている。国内の政治的に重要な人物および国際機関に属する者との関係は、他のリスク要因が存在する場合に限り高リスクとなる。高リスクの関係には、資産の出所の解明や上級経営陣による関係の承認を含む、強化されたデューデリジェンスが求められる。1
スイスは、外国の政治的に重要な人物が保有する不法資産の凍結および返還について、独自の政策を発展させてきた。2011年の「アラブの春」の後、連邦参事会はチュニジアのザイン・アル=アービディーン・ベン・アリー、エジプトのホスニー・ムバーラクおよびその関係者の資産を凍結した。2014年のウクライナ革命の後には、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチおよびその関係者の資産を凍結した。2016年に施行された外国の政治的に重要な人物が保有する不法資産の凍結および返還に関する連邦法は、この実務を法典化したものである。同法は、出身国の政府が崩壊したか政権交代が差し迫っている場合、汚職が周知の事実である場合、かつスイスの利益が関わる場合に、連邦参事会が資産を凍結することを認めている。また同法は、出身国が国家機構の機能不全のために司法共助を通じて回収することのできない資産について、その没収および返還の手続をも定めている。2
不法資産の返還は、スイスとバーゼルが一定の役割を果たす専門分野となっている。バーゼル・ガバナンス研究所は、その国際資産回収センターを通じて、各国による盗まれた資産の追跡および回収を支援し、捜査官や検察官を訓練し、法的枠組みについて助言している。スイスによる返還は、フィリピン、ナイジェリア、ペルー、カザフスタン、ウズベキスタンなどの国々に数十億フランを戻してきた。その多くは、資金が再び汚職に流れることを防ぐため、資金の使途の監視を定める合意に基づいて行われている。3
注
- 資金洗浄防止法(AMLA)(定義は第2a条、高リスクは第6条第3項)およびFINMA資金洗浄防止令(AMLO-FINMA)(第13条以下)における政治的に重要な人物の取扱いについては、関係規定を参照。要確認。 ↩
- 外国の政治的に重要な人物が保有する不法資産の凍結および返還に関する2015年12月18日の連邦法(外国不法資産法(FIAA)、SR 196.1)、2016年7月1日施行。チュニジア、エジプト(2011年)およびウクライナ(2014年)に関する凍結。要確認。 ↩
- スイスによる資産返還(フィリピン、ナイジェリア、ペルー、カザフスタンおよびウズベキスタンへの返還を含む)およびバーゼル・ガバナンス研究所の国際資産回収センターの役割については、連邦外務省(FDFA)およびBasel Institute on Governanceの公表資料を参照。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。