新たなフロンティア:暗号資産とデジタル資産、気候関連金融リスク
2019年以降、バーゼル銀行監督委員会は、従前の合意が起草された時点では存在しなかった、あるいは認識されていなかったリスクにまでその作業を拡げてきた。その最も顕著なものが、銀行の暗号資産・デジタル資産に対するエクスポージャーの取扱いである。2019年12月の討議資料と2回のコンサルテーションを経て、同委員会は2022年12月に暗号資産エクスポージャーのプルーデンス上の取扱いに関する基準を公表した。同基準は、そうした資産を二つのグループに分ける。グループ1は、トークン化された伝統的資産と、実効的な安定化メカニズムを有するステーブルコインから成り、概ね裏付けとなるエクスポージャーと同様に取り扱われる。一方、グループ2は、ビットコインのような裏付けのない資産を含むその他すべての暗号資産を対象とする。これらには1,250パーセントのリスク・ウェイトが適用される。銀行のグループ2エクスポージャーの総額は、原則としてTier 1資本の1パーセントという上限に服する。1
2024年7月、同委員会は、ステーブルコインがグループ1に該当するための基準を明確化し、実施日を2026年1月1日に延期する的を絞った改正を公表した。米国と英国を含むいくつかの主要法域は、その期日までに現行の形で基準を実施しない意向を示した。2025年後半、同委員会は、市場の動向、とりわけステーブルコインの拡大に照らして、基準の諸要素の見直しを前倒しで行うと発表した。2スイス金融市場監督機構(FINMA)が自らの規制実務において同基準を採用しているスイスの銀行にとって、また暗号資産・デジタル資産の業務を誘致しようとする金融センターにとって、この見直しの結果は、銀行がそうした資産を合理的なコストでバランスシートに保有できるかどうかを決定することになる。国際決済銀行(BIS)イノベーション・ハブのトークン化プロジェクトについては、第K部で論じる。
第二の新たな分野は、気候関連金融リスクである。同委員会は2020年にハイレベル・タスクフォースを設置し、2022年6月に「Principles for the effective management and supervision of climate-related financial risks」を公表した。18の原則は、コーポレート・ガバナンス、内部統制、自己資本および流動性の充実、リスク管理、シナリオ分析、そして監督当局の責任を扱っている。32023年11月には、気候関連金融リスクの第3の柱に基づく開示に関するコンサルテーションが続いた。2025年、構成員が義務的な基準について合意できなかったことを受けて、同委員会は任意の開示枠組みを公表した。この結果は、広く米国の立場の変化によるものとされている。この枠組みおよびさらなる気候関連の作業の現状は要確認である。4
注
- Basel Committee, Prudential Treatment of Cryptoasset Exposures(2022年12月)。統合された枠組みにSCO60章として組み込まれている。要確認。 ↩
- Basel Committee, Cryptoasset Standard Amendments(2024年7月)、2025年における基準の見直しに関するその後の声明。現状は要確認。 ↩
- Basel Committee, Principles for the Effective Management and Supervision of Climate-related Financial Risks(2022年6月)。要確認。 ↩
- Basel Committee, 市中協議文書Disclosure of Climate-related Financial Risks(2023年11月)および2025年に公表された任意の枠組み。現状は要確認。 ↩
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