自然災害と気候リスク
自然災害リスクは、常にスイス・ソルベンシー・テスト(SST)の中心に位置してきた。SSTは、保険会社に対し、暴風、洪水、雹および地震による損失をモデル化することを求めている。スイスでは、地震以外の自然災害に対する保険は、ほとんどの州(カントン)において建物について義務的である。バーゼル=シュタット州およびバーゼル=ラントシャフト州を含む19の州では、独占権を有する州の建物保険機関がこれを提供しており、残りの州では、民間保険会社が、統一的な保険料と条件を有するプールを通じて建物をカバーしている。1 州の建物保険機関はスイス金融市場監督機構(FINMA)の所管外であり、それぞれの州によって監督されている。地震リスクはスイスでは大部分が無保険であり、1356年に中欧の歴史上最も破壊的な地震の一つに見舞われたバーゼルは、この欠缺を特に痛切に感じている。連邦レベルでの解決を目指す度重なる試みや、2023年以降議論されている偶発債務モデルを含め、この欠缺をめぐる政治的議論については第I章で論じる。
気候変動は、自然災害リスクに新たな次元を加えた。FINMAは、保険会社に対し、気候関連の金融リスクを識別、評価および管理することを期待している。これには、より頻繁かつ深刻な気象事象などの物理的リスクと、炭素集約型産業への投資による損失などの移行リスクの双方が含まれる。2021年以降、大規模保険会社は気候関連の金融リスクの開示を義務付けられている。2 自然関連の金融リスクに関する新たな通達は、これらの要件を、気候その他の自然関連リスクのガバナンス、リスク管理およびシナリオ分析への統合にまで拡張している。現状は要確認。Swiss Reは、そのsigmaシリーズを通じて自然災害に関する広範な調査を公表している。Swiss Reのような再保険会社にとって、気候リスクは事業機会であると同時に、保険料設定と資本要件が依拠するモデルに対する挑戦でもある。3
注
- 19の州における州の建物保険(kantonale Gebäudeversicherungen)の制度、およびその他の州(いわゆるGUSTAVO州)における民間の Elementarschadenpool については、州火災保険協会(VKG)およびスイス保険協会を参照。州の数は要確認。 ↩
- 2021年7月1日付で改正されたFINMA通達2016/2(監督区分1および2の保険会社に対する気候関連開示)、FINMA通達2025/3「Nature-related financial risks」、経過期間付きで2025年/2026年から施行。番号および日付は要確認。 ↩
- Swiss Re Institute, 自然災害に関するsigmaレポート(年次)およびSwiss Reの気候関連開示。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。