FINMAの執行手段と制裁金をめぐる議論
スイス金融市場監督機構(FINMA)は、継続的な監督と執行とを分離している。監督は、機関との定期的な対話、その報告の審査、立入調査および監査法人の作業から成る。この作業によって監督法の重大な違反の兆候が明らかになった場合、FINMAは執行手続を開始することができ、この手続は行政手続法(APA)に基づき独立した執行部門によって遂行される。FINMAの最終処分については、連邦行政裁判所に、そして最終審としてローザンヌの連邦最高裁判所に不服を申し立てることができる。1
これらの手続において利用可能な手段は、金融市場監督法(FINMASA)に定められている。FINMAは機関に対して適法状態の回復を命じることができ、重大な違反が生じた場合には、適法状態をもはや回復し得ないときであっても、違反を記録する確認処分を下すことができる。このような処分は機関に直接の金銭的帰結をもたらさない。もっとも、それはさらなる措置の基礎となり、機関が後に認可を申請し、または取引の承認を求める際には、FINMAによって考慮される。重大な違反について責任を負う個人に対しては、FINMAは、あらゆる被監督機関において最長5年間上級職に就くことを禁止することができる。これとは別の業務禁止により、トレーダーや顧客アドバイザーなどの従業員をその職務から排除することができる。2
さらに三つの手段が手段の体系を補完している。FINMAは、機関または上級職にある者が重大な違反によって得た利益を没収することができ、没収された金額は、損害を被った者の補償に充てられない限り連邦に支払われる。重大な違反に関する処分が確定した後は、FINMAは関係者の個人データを含めてそれを公表することができる。FINMAはまた、機関の費用で事実を調査し、またはFINMAが命じた措置を実施する独立の調査担当者を任命することができる。3 被監督主体としての機関の存在を終わらせ、通常はその清算に至る認可の取消しは、依然として最も厳しい措置である。
FINMAに欠けているのは、機関に行政上の制裁金を科す権限である。金融市場監督法は刑事規定を含んでおり、とりわけ無認可の活動、FINMAに対する虚偽情報の提供および報告義務の違反を処罰している。これらの犯罪は、行政刑法(ACLA)に基づき連邦財務省によって訴追され、同法は手続を主として責任ある自然人に向けている。企業は狭い状況においてのみ、かつ控えめな金額を上限としてのみ罰金を科され得る。4 刑事弁護人にとって、二つの手続の相互作用は微妙な問題を提起する。機関または従業員が協力義務に基づいてFINMAに開示しなければならない情報は、後に刑事訴追官の手に渡る可能性があるが、刑事手続においては自己負罪拒否特権が被疑者・被告人を保護している。
制裁金をめぐる議論は、クレディ・スイス(Credit Suisse)の破綻後に激化した。その支持者は、確認処分は違反によって多額の利益を生み出す大手銀行にほとんど効果を持たないため、制裁金を科す権限を持たない監督当局は信頼に足る抑止力を欠いていると主張する。彼らは、銀行に相当規模の制裁金を定期的に科している英国、米国および欧州連合(EU)の監督当局の実務を指摘する。反対者は、制裁金は最終的に違反に責任のない株主が負担することになると主張する。彼らはまた、制裁金を科す権限は、FINMAの手続を欧州人権条約に基づく刑事手続の保障の方向へと引き寄せ、手続をより長期化させ、より対審的なものにすると警告する。連邦参事会は、本章の後の節で述べるとおり、2023年以降の銀行規制改革に関する提案の中に、FINMAに制裁金を科す権限を付与することを盛り込んだ。5
注
- 行政手続に関する連邦法(APA、SR 172.021)に基づくFINMAの執行手続の遂行、FINMA内部における執行と監督の組織上の分離、ならびに連邦行政裁判所および連邦最高裁判所への不服申立て(FINMASA第54条)については、FINMAの執行方針および年次報告書を参照。要確認。 ↩
- 適法状態の回復命令(FINMASA第31条)、確認処分(FINMASA第32条)、上級職にある者に対する最長5年の業務禁止(FINMASA第33条)および従業員に対する活動禁止(FINMASA第33a条)については、SR 956.1およびFINMAの執行実務を参照。要確認。 ↩
- 利益の没収(FINMASA第35条)、重大な違反の場合における最終処分の公表(FINMASA第34条)および調査担当者の任命(FINMASA第36条)については、SR 956.1を参照。要確認。 ↩
- FINMASAの刑事規定(第44条以下)および行政刑法に関する連邦法(ACLA、SR 313.0)に基づく連邦財務省によるその訴追(ACLA第49条に基づく企業の限定的責任を含む)については、標準的なコンメンタールを参照。要確認。 ↩
- 2024年4月の銀行の安定性に関する連邦参事会報告書およびその後の立法提案に含まれる、被監督機関に制裁金を科す権限をFINMAに付与する提案については、連邦財務省の公表資料を参照。状況は要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。