製薬業界と国際決済銀行(BIS)の業務言語としての英語 — 概観と要約
バーゼル駅から国際決済銀行(BIS)の円形の塔まで歩き、さらにライン河畔のNovartisキャンパスへ進み、大学のBiozentrumで一日を終える訪問者は、その道中でドイツ語、バーゼル方言(Baseldytsch)及びフランス語を耳にするであろう。しかし、そのファサードの背後にある会議室、研究所及びトレーディングルームでは、業務の言語は英語であることが非常に多い。ブラジルや日本の中央銀行関係者は、BISにおいて資本バッファーについて英語で議論する。インドやポーランドの化学者はRocheのために研究報告書を英語で作成し、中国やイタリアの博士課程の学生はBiozentrumにおいて英語で学位論文の口頭審査に臨む。本部の最初の二つの章は、バーゼルのドイツ語圏の中核と、国境の向こう側にあるそのフランス語圏の隣人とを描いた。本章は、同市の第三の言語に目を向ける。この言語は州(カントン)において公用語としての地位を持たず、母語として話すのは住民のごく少数にすぎないが、バーゼルを国際的な中心地たらしめている経済的重みの多くを担っている。1
本章は、英語がいかにしてバーゼルの国際機関及びライフサイエンス・グループの業務言語となったか、それがいかにして大学、学校及び外国人駐在者コミュニティの日常生活へと広がったか、そしてスイス法がいかにして英語による手続及び文書に徐々に門戸を開いてきたかを検討する。まず、スイスにおける言語の法的枠組みと、数十年にわたり英語を主たる業務言語として用いてきた国際決済銀行を取り上げる。次いで、RocheとNovartis、製薬産業の規制上及び科学上の言語、並びに大学の学術生活に目を転じる。本章の後半では、裁判所、仲裁、金融規制及び会社法、英語の法律用語がスイス民法と出会うときに生じる概念上の困難、並びにスイスの学校における英語をめぐる政治的議論と言語と権力をめぐる議論とを取り上げる。複数の言語で契約を起草することに関する詳細な問題は、次章に委ねる。
注
- 本部第I章及び第II章を参照。連邦又は州のレベルにおいて英語がいかなる公用語としての地位も有しないことについては、1999年4月18日のスイス連邦憲法(SR 101)第4条及び第70条、並びにドイツ語を州の公用語と定める2005年3月23日のバーゼル=シュタット州憲法第76条を参照。要確認。 ↩
結論
英語は、バーゼルに国際的な重みを与える諸機関、すなわち国際決済銀行及びそれが受け入れる諸委員会、製薬グループRoche及びNovartis、地域のバイオテクノロジー企業、研究機関、並びに大学の大部分における業務言語となった。英語は州においても連邦においても公用語としての地位を持たないが、スイス法は、連邦特許裁判所や改正国際私法から、民事訴訟法の2025年改正及び金融サービス法の目論見書規則に至るまで、その使用に段階的に門戸を開いてきた。法定文書、公的手続及び法そのものは国語のままであり、そのため法律家、規制当局及び企業は、英語とドイツ語又はフランス語との間を絶えず行き来することを余儀なくされている。
この言語間の行き来には、コモン・ローの概念とスイス民法との出会い、国際基準と国内法化との出会いが伴う。次章では、複数の言語による契約の起草において、この出会いがもたらす実務上の帰結を取り上げる。
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。