推進要因I:UBS、自己資本と立地の問題
第一の、そして最も重大な不確実性は、スイスにおけるUBSの将来である。同行の経営陣は2025年以降、連邦参事会が提案した自己資本規制は同行を恒常的な競争上の不利に置くことになると繰り返し主張してきた。2025年及び2026年の報道は、同行が本社又はグループ構造の一部を国外に移転することを含む選択肢を検討しており、移転先として米国と英国が最も頻繁に挙げられていると伝えた。同行自身は、そうした報道を憶測であるとし、又はその詳細についてコメントしなかった。1 そうした選択肢が真剣に追求されたのか、それとも政治的交渉における論拠として用いられたのかは、外部からは評価できない。
移転は複雑な法的問題を生じさせる。UBS Group AGは、チューリッヒとニューヨークに上場するスイスの会社である。その主たる事業会社であるUBS AGは、第F部第III章で述べたとおり、チューリッヒとバーゼルに登記上の本店を有するスイスの銀行である。本社の移転には、持株会社の国境を越えた移転、株主の同意、スイス金融市場監督機構(FINMA)及び外国の監督当局の承認、並びにスイス事業の子会社への再編が必要となる。2 スイス事業は引き続きスイスの監督下に置かれ、おそらく国内のシステム上重要な銀行に関するスイスの自己資本規則の適用を受け続けるであろう。税務上の帰結、顧客の反応及び受入れ側法域の姿勢は不確実である。
自己資本の問題は、所在地の問題と密接に結びついている。要件が高くなれば、スイスから事業を行うコストが増し、したがって国外へ移るインセンティブが高まる。要件が低くなればそのインセンティブは弱まるが、スイス国家が負うリスクは増大する。これらの立場の間で議会が行う選択は、本章のシナリオにとって最も明確な道標の一つとなるであろう。この決定は任意的国民投票の対象ともなるため、最終的な判断を有権者が下す可能性がある。3 本章はその帰結について推測しない。
他の規制上の決定も同じ複合体に属する。それには、公的な流動性バックストップの導入、制裁金を科す権限を含むFINMAの権限の拡大、及び上級管理者の個人責任制度が含まれる。そのいずれもが、スイスにおける銀行業のコストとリスクを変化させるであろう。これらの改革の方向性は、細部が明らかでないとしても明確である。すなわち、システム上重要な銀行に関するスイスの規制制度は、2035年には2022年よりも厳格になっているであろう。4 決定的な不確実性は、その程度と、それに対する銀行の反応に関するものである。
注
- UBSが提案された自己資本規制への対応として本社の移転又はグループ構造の変更を検討しているとの2025年及び2026年の報道、並びに同行の会長及び最高経営責任者の発言については、国際及びスイスの金融報道を参照。状況は要確認。 ↩
- スイスの会社の本店の国境を越えた移転に関する法的要件(国際私法に関する連邦法第163b条以下)、及びシステム上重要な銀行グループの再編に必要な監督上の承認については、関連法令及びFINMAの実務を参照。要確認。 ↩
- 連邦法に対する任意的国民投票(連邦憲法第141条第1項a号)及び銀行法改正へのその適用については、連邦憲法及び第F部第III章を参照。要確認。 ↩
- Credit Suisse後の改革パッケージのその他の要素(公的な流動性バックストップ、FINMAの制裁金権限、上級管理者制度、早期介入)については、第E部第II章及び連邦財務省の刊行物を参照。状況は要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。