推進要因と不確実性
シナリオ・プランニングは、ある程度の確信をもって予測できる既定の要素と、その帰趨が将来をさまざまな方向に形作る決定的な不確実性とを区別する。1 2035年までのスイスと欧州連合(EU)との関係については、いくつかの要素が既定であるように見える。地理は変わらない。バーゼルは、EU域内市場の真ん中にある国境都市であり続ける。EUは、域内市場への参加の条件として制度的メカニズムを引き続き強く求めるであろう。その金融サービス規制は包括的なものであり続け、資本要求指令(CRD)第21c条が示すように、第三国からの国境を越えるアクセスを引き続き制限するであろう。
決定的な不確実性は四つある。第一は国内承認手続の帰結であり、これには国民投票の種類に関する議会の決定及び投票そのものが含まれる。第二は人の自由移動の政治的持続性であり、それは人口増加、住宅不足及び将来の国民発議によって再び試されるであろう。第三はEU自体の変化であり、ウクライナ、モルドバ及び西バルカンへの拡大、その内部改革、並びにスイスを柔軟に扱う意思が含まれる。第四は世界的な環境、とりわけ米国との通商紛争、中国との競争及び欧州の安全保障情勢であり、それはスイスとEUを互いに近づけることも、その相違を露わにすることもあり得る。2
これらの不確実性は互いに独立しているわけではない。地政学的環境の悪化はスイスの有権者を近隣諸国との関係の確保により前向きにし得る一方、経済的に好調な時期は、スイスは独力で繁栄できるという信念を強め得る。以下の四つのシナリオは、これらの不確実性を首尾一貫した筋書きに組み合わせたものである。シナリオの目的は意思決定者のメンタル・モデルを変えることにあるというWackの所見の趣旨に沿って、読者が戦略をそれぞれのシナリオに照らして検証できるよう、シナリオは意図的に対照的なものとしている。3
注
- シナリオ構築における既定の要素と決定的な不確実性の区別については、前掲のWack(1985)及びSchwartz(1991)、並びにvan der Heijden(1996)を参照。要確認。 ↩
- スイスの欧州政策の推進要因(国内政治、EUの拡大及び改革、米国の通商政策、欧州の安全保障)については、2024年から2027年までの外交政策戦略に関する連邦参事会の報告書、並びにAvenir Suisse及びforausなどのシンクタンクの分析を参照。要確認。 ↩
- 前掲のWack(1985)。経営者の「mental maps」を変える手段としてのシナリオについて。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。