自己資本:バーゼルIIIの実施
スイスの銀行に対する自己資本要件は、バーゼル銀行監督委員会の基準を実施する自己資本令(CAO)に定められている。同令は、銀行に対し、バーゼル枠組みの標準的手法に従って、またはスイス金融市場監督機構(FINMA)の承認を得て自らの内部モデルに従って算出されるリスク加重資産に比例した自己資本の保有を義務付けている。同令は普通株式等Tier 1資本、その他Tier 1資本およびTier 2資本を区別し、銀行に最低要件を上回るバッファーの保有を求めている。1
スイスは、危機後の改革を完了させるためにバーゼル委員会が2017年に採択したバーゼルIII最終化基準を、2025年1月1日に実施した。最終化基準は、信用リスク、オペレーショナル・リスクおよび市場リスクに関する標準的手法を改訂し、内部モデルの使用を制限し、アウトプット・フロアを導入した。アウトプット・フロアは、標準的手法と比較して銀行が内部モデルから得られる便益を制限するものである。2 スイスは最終化基準を実施した最初の法域の一つであったが、欧州連合(EU)、英国および米国はその実施の一部を延期し、これが競争上の公平性の問題を提起した。
自己資本要件は銀行のカテゴリーによって異なる。FINMAは、規模、複雑性およびシステム上の重要性に応じて銀行を五つのカテゴリーに分類している。一定の流動性および自己資本の基準を満たす最小規模の銀行は、高く単純なレバレッジ比率と引換えに複雑な要件の一部を免除する小規模銀行制度の適用を受けることができる。バーゼルその他の地域のいくつかの小規模なプライベートバンクおよび地方銀行が、この制度を選択している。3
注
- 2012年6月1日の銀行および証券会社の自己資本およびリスク分散に関する命令(自己資本令、CAO、SR 952.03)、バーゼルIII枠組みを実施。要確認。 ↩
- 2025年1月1日付のスイスにおけるバーゼルIII最終化基準の実施(改正CAOならびに信用リスク、市場リスクおよびオペレーショナル・リスクに関するFINMA命令)については、連邦財務省およびFINMAの公表資料を参照。要確認。 ↩
- 2020年施行のCAO第47a条以下に基づく、一定の自己資本および流動性の基準を満たす監督カテゴリー4および5の銀行のための小規模銀行制度(Kleinbankenregime)については、CAOおよびFINMAの公表資料を参照。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。