バーゼル=シュタットの妥協
バーゼル=シュタット州は連邦の投票を待たなかった。法人税改革IIIの否決後、州政府は政党、労働組合および経済団体と交渉し、税制提案17に関する「バーゼル妥協」として知られるようになったパッケージをまとめた。2018年に州議会で可決された後、有権者は2019年2月10日に78パーセントを超える票でこれを承認した。この結果は、2年前の連邦改革の否決と際立った対照をなした。1 その規定の大半は2019年1月1日に遡って施行されたが、パテントボックスや資本税の軽減など連邦法に依存する規定は、連邦の投票後の2020年1月1日に施行された。2
妥協の核心は、利益税の大幅な引下げであった。州は、資本に対する利益の比率に依存していた累進税率表を廃止し、6.5パーセントの比例税率に置き換えた。直接連邦税と合わせると、税引前利益に対する実効税率は約13.04パーセントに低下した。旧税率表の最高水準ではおおむね22パーセントであった。3 資本税は低い通常税率に設定され、資本参加、特許およびグループ内貸付に帰属する自己資本については大幅に軽減された。パテントボックスは、連邦法が許容する最大の90パーセントの軽減で導入された。
二つの特徴が、バーゼルの実施を他の多くの州(カントン)のそれと区別している。第一に、バーゼル=シュタット州は研究開発費の任意の追加控除を導入しなかった。第二に、軽減制限を連邦の上限を大きく下回る水準に設定したため、パテントボックスを最大限に利用する会社であっても、利益のより大きな部分が通常課税のまま残る。4 これらの選択は、最大の納税者が研究集約型である州としては意外に見えるかもしれない。しかし、それは意図的なトレードオフを反映している。低い通常税率はすべての会社に等しく恩恵を与え、ネクサス比率や研究費の複雑な計算に依存しない。手厚い特別控除は製薬グループの課税標準をさらに縮小させたであろうが、州はパッケージを受け入れ可能にした社会的措置のための税収を確保する必要があった。穏当な通常税率と限定的な特別制度との組合せは、実質的に、州の予算を少数のグループの税務プランニングの細部の人質とすることなく、州を魅力的にしようとする試みであった。
妥協の社会的側面は、財政的側面と同じく重要であった。パッケージは、所得の低い世帯に対する健康保険料補助を拡充し、低・中所得層の所得税を引き下げ、州レベルでの適格資本参加からの配当に対する課税を配当額の50パーセントから80パーセントに引き上げた。また、使用者が負担する家族手当の引上げも定めた。5 この設計は、州政府が2017年の教訓を吸収していたことを示している。有権者は、自らへの直接的な恩恵が見え、かつ大企業の株主がより高い配当課税を通じて貢献するのであれば、企業税の引下げを受け入れる用意があった。
この妥協は、バーゼルの政治家が長い改革論議の間に繰り返し行ってきた約束、すなわち州は製薬産業への依存を念頭に置いて実施を設計するという約束を果たすものであった。約13パーセントという税率は、改革後、バーゼル=シュタット州をスイスの税率幅の中ほどに位置づけた。それは、12パーセント前後またはそれ以下であったツーク、ルツェルン、ニートヴァルデンの税率よりは高かったが、改革後最初の数年間のチューリッヒ、ベルンおよびフランス語圏の州の税率を大幅に下回っていた。かつての特別ステータスが活動の一部しかカバーしていなかった製薬グループにとって、改革は通常課税される利益に対する負担を軽減する一方、以前は優遇ステータスのもとで課税されていた所得に対する負担を増大させた。州にとって、予想される短期的な税収減は、連邦税の取り分の増加と、低い税率が課税対象となる活動を維持し誘致するという期待によって、部分的に相殺されることとされた。6
注
- バーゼル=シュタット州、2019年2月10日の州民投票における税制提案17に関するバーゼル妥協の可決(78パーセント超の賛成票)に関するプレスリリース。要確認。 ↩
- バーゼル=シュタット州、バーゼル妥協の施行に関する政府決定(2019年)。PwC Switzerland, "STAF: Inkraftsetzung in Basel-Stadt", 2019年2月27日の要約も参照。要確認。 ↩
- バーゼル妥協により改正されたバーゼル=シュタット州税法(SG 640.100)。直接連邦税を含む約13.04パーセントの合算実効税率は、州行政当局およびアドバイザリー会社により引用されている。数値は要確認。 ↩
- PwC Switzerland, "STAF: Inkraftsetzung in Basel-Stadt", 2019によれば、同州は研究開発費控除を導入せず、軽減の合計を課税利益の40パーセントに制限した。数値は要確認。 ↩
- 保険料補助(Prämienverbilligung)の拡充、所得税の引下げおよび家族手当の引上げを含むバーゼル妥協の社会的要素については、2019年2月10日の投票に関するバーゼル=シュタット州政府の説明資料を参照。家族手当引上げの詳細は要確認。 ↩
- バーゼル妥協の予想される財政効果と他州との比較については、税制提案17に関する政府の州議会宛て教書、ならびに連邦税務局およびKPMG Switzerlandによる州別税負担の年次比較を参照。数値は要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。