美術品担保融資とアート・ファンド
美術品は、次第に融資の担保となってきた。プライベートバンクは価値の高いコレクションを担保に融資を行うが、評価が不確実で換価に時間を要するため、その担保掛目は通常、有価証券の場合を大きく下回る。専門の貸手やオークションハウスの金融部門も、同様の条件で融資を提供している。コレクターにとって、このような融資は売却をせずに流動性を生み出すものである。売却は課税を引き起こしたり、市場に資金需要を示唆したりするおそれがあるからである。貸手にとっての中心的なリスクは、評価、真正性、権原、そして担保の換価可能性である。1
スイス法は、これらの融資のストラクチャーを独特の形で規定している。動産質には、質権者または質権者のために占有する第三者が対象物の占有を取得することが必要である。コレクターは、質入れした絵画を自宅の壁に掛けておくことはできない。そのため、貸手は通常、三者間契約の下で作品を倉庫に寄託すること、または担保のために所有権を移転することを求める。この占有要件は、借手が作品を手元に置くことを認める米国の登録担保権制度とは異なる。スイスのアート・レンディングが専門的な保管と密接に結び付いている理由は、ここにある。2
投資家の資金をプールして作品を購入し、保有期間の後に売却するアート・ファンドの歴史はまちまちである。初期の例として最もよく知られているのは、1970年代から美術品に投資し、その後数十年にわたって保有作品を売却した英国鉄道年金基金(British Rail Pension Fund)である。2000年代に設定されたいくつかのファンドは、取引費用、保管および保険が収益の多くを食いつぶしたため、目標を達成することなく閉鎖された。スイスでは、公衆に募集されるアート・ファンドは集団投資スキーム法の適用を受け、スイス金融市場監督機構(FINMA)の認可を要する。適格投資家向けの私的なストラクチャーには、より緩やかな規則が適用される。3
注
- アートを担保とする融資の市場、適用される担保掛目および市場参加者については、Deloitte and ArtTactic Art & Finance Report(各年版)を参照。数値は要確認。 ↩
- 動産質の占有要件に関するスイス民法典(CC)第884条、および米国統一商事法典第9編に基づく担保権との比較については、動産担保に関するスイスの文献を参照。要確認。 ↩
- 英国鉄道年金基金の美術品投資(1974年以降)および2000年代以降のアート・ファンドの経験については、資産クラスとしての美術品に関する専門文献を参照。集団投資スキームの規制については、集団投資スキーム法(CISA、SR 951.31)を参照。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。