資産承継計画における美術品とコレクション
バーゼルの多くの裕福な一族にとって、遺産の中で最も個人的な部分は壁に掛かっている。この都市は1661年以来、公の手で美術品を収集してきた。この年、市はアマーバッハ・コレクションを取得し、しばしば世界最古の公共美術コレクションと称されるものの基礎を築いたのである。私的な収集家は、美術館(Kunstmuseum)への寄贈や遺贈を通じてその伝統を受け継いだ。1970年にバーゼルのギャラリストたちによって創設されたアート・バーゼルは、以来この都市を国際美術市場の年次の集いの場としてきた。1 市場そのものについては見本市に関する前の章で述べたので、本節では、コレクションがそれを所有する一族にもたらすプランニング上の問題を取り上げる。
コレクションは、価値の確定が難しく、売却なしに相続人の間で分割することがしばしば不可能であり、その感情的な重みが金銭的価値を上回ることもある非流動資産である。そのためウェルス・プランナーは、来歴、状態、所在、保険および所有関係を記録した目録の作成から始める。驚くほど多くのコレクションが、どの作品が誰に属するかについての明確な記録がないまま、一部は個人、一部は会社、一部は財団によって保有されているからである。来歴調査は、前の章で論じた略奪美術品と返還をめぐる議論以来、重要性を増している。疑わしい経歴を持つ作品は売却不能となることがあり、相続人を請求にさらしうるからである。2
一族がコレクションを一体として保持することを可能にする手段はいくつかある。公益の美術財団は、展示と研究のために作品を保有することができ、公益目的が真正であり、一族が作品の私的な享受を留保しない場合には、免税が確保される。1933年にマヤ・ホフマン=シュテーリンが夫を記念して設立したエマヌエル・ホフマン財団は、何十年にもわたり現代美術を収集し、それをミュンヘンシュタインのシャウラガーで公開している。シャウラガーはヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)の設計による建物で、美術館、収蔵庫および研究センターを兼ねる施設として2003年に開館した。3 美術館への長期貸与はより簡易な代替手段であり、所有権を一族に残しつつ、作品に公衆の目に触れる機会と専門的な管理を与え、条件によっては保険費用や保存費用の負担も得られる。
保管にはそれ固有の問題がある。スイスでは、物品が自由流通に置かれるまでの間、輸入関税および付加価値税を課されることなくフリーポートおよび公開税関倉庫に保管することが認められている。ジュネーブ・フリーポートが最もよく知られた例である。このような倉庫が所有関係を隠しうるとの批判を受けて、スイスは2010年代に倉庫運営者の目録義務と報告義務を強化した。4 プランナーにとって決定的な点は、作品の所在地が、その移転を規律する法と、その作品に相続税を課しうる国とを決定しうることである。バーゼルに保管されているがドイツに居住する一族が所有する絵画は、ドイツの遺産の一部であり続け、その所在地にかかわらずドイツの相続税が及ぶ。5
注
- バーゼル美術館の起源としての1661年の市と大学によるアマーバッハ・コレクションの取得、およびエルンスト・バイエラーらバーゼルのギャラリストによる1970年のアート・バーゼルの創設については、Kunstmuseum BaselおよびArt Baselの公表資料を参照。要確認。 ↩
- 美術コレクションの承継および売却にとっての来歴調査と所有関係の記録の重要性については、特に1998年のワシントン原則と返還をめぐる議論に照らして、専門文献を参照。要確認。 ↩
- エマヌエル・ホフマン財団(1933年にマヤ・ホフマン=シュテーリン、後のマヤ・ザッハーが設立)およびミュンヘンシュタインのシャウラガー(2003年開館、設計Herzog & de Meuron)については、同財団およびLaurenz Foundationの公表資料を参照。要確認。 ↩
- 関税法に基づくフリーポートおよび公開税関倉庫(Zollfreilager、offene Zolllager)に関する規則、および2016年以降の目録義務の強化については、連邦関税・国境警備局の公表資料を参照。現状は要確認。 ↩
- 被相続人または相続人がドイツに居住している場合に、動産の所在地にかかわらず及ぶ、ドイツ相続税・贈与税法(ErbStG)第2条第1項第1号に基づくドイツ相続税の全世界的な適用範囲については、ドイツの税法文献を参照。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。