文書館と歴史的責任
バーゼルの奴隷貿易への関与の歴史を書くことができたのは、商家の文書が残存していたからである。バーゼルに保存されているクリストフ・ブルクハルト商会の文書により、歴史家たちは同社の事業を詳細に再構成することができた。家族、企業、財団、公的機関の他の文書にも、バーゼルの植民地との結びつきに関する、なお調査されるべき情報が含まれている。
歴史的文書へのアクセスの問題は、金融機関にとっての課題となっている。米国では、2000年代初頭に複数の州と市が、自らと取引する保険会社と銀行に対し、奴隷制との歴史的な結びつきを開示するよう義務づける法律を採択した。米国の複数の金融機関は、自らの歴史的関与に関する報告書を公表し、謝罪した。1 スイスでは、第二次世界大戦中のスイスの銀行、保険会社および企業の行動を、それらの文書への特権的なアクセスをもって検証したベルジエ委員会の経験が、歴史研究がいかに機関の責任の解明に寄与しうるかを示した。ベルジエ委員会については第D部で改めて取り上げる。
したがって、文書の保存と公開は金融機関の責任の一部である。自らの文書を保存し、研究者に公開する機関は、その暗い章を含めて自らの歴史が書かれることを可能にし、自らの過去に関する問いに証拠に基づいて応えることができる。金融機関に10年間の記録保存を義務づける現代の記録保存義務は、監督と法執行の目的に資するものである。歴史的文書の長期保存は歴史的真実という目的に資するものであり、信頼されることを望む金融センターはこれを無視することができない。
注
- 奴隷制時代の事業に関する開示法(例えば2000年のCalifornia Slavery Era Insurance Policies law、2002年のChicago Slavery Era Disclosure Ordinance)と米国金融機関の報告書および謝罪については、関係法令および報道を参照。要確認。 ↩
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