四言語国家における第五の言語
スイスは自らを、ドイツ語、フランス語、イタリア語およびロマンシュ語の四つの国語を有する国と称している。その連邦憲法は、これらの言語の使用を連邦と州(カントン)との間で慎重に配分している。この憲法秩序のどこにも英語は登場しない。それにもかかわらず英語は、言語学者Richard J. WattsとHeather Murrayが2001年に刊行した論文集の表題で呼んだもの、すなわち実際上の意味での「第五の国語」となりうるものになっている。それは、異なる言語地域のスイスの住民が、共通の国語がない場合に、互いに、また世界と用いる言語である。1
統計的な状況は、大筋においてこの記述を裏づけている。連邦統計局の言語調査によれば、英語は、各地域の主たる国語に次いで職場で最も頻繁に用いられる言語であり、その使用は高等教育を受けた被用者および大都市において特に広がっている。バーゼル=シュタット州では、英語を主たる言語の一つと申告する住民の割合が国内で最も高い水準にあり、これは国際機関、ライフサイエンス・グループおよび大学の存在を反映している。正確な数値は調査ごとに変動し、回答者が複数の言語を示すことができるか否かにも左右される。2
人口の3分の1以上が外国籍の者で占められる都市にとって、英語の使用は実際上の必要である。製薬会社の研究グループには15か国の科学者が集まることがあり、BISの部署には30か国のエコノミストが勤務していることもある。こうしたチームはバーゼル方言で仕事をすることはできず、専門的な議論に十分な水準でフランス語や標準ドイツ語を共有していることもまれである。そのため英語は、これらのチームの既定の言語となった。英語は、その構成員の大部分が学校で学び、学業の間に用いてきた第二言語だからである。言語学者がEnglish as a lingua franca(共通語としての英語)という用語で記述するこの機能的説明は、バーゼルの状況を英語圏の国の状況と区別するものである。すなわち、この都市で英語を話す者の大多数は、非母語話者として英語を話しているのである。3
バーゼルは、この現象に関する体系的な研究の場でもあった。言語学者Georges Lüdiとそのバーゼル大学の同僚たちは、職場における言語のダイナミクスに関する欧州の研究プロジェクトの中で、スイスの多言語企業の言語実践を研究した。その研究は、英語を企業言語と宣言している企業が、実際には英語だけで業務を行っているわけではないことを示した。従業員は、状況、相手および話題に応じて、英語、ドイツ語、フランス語その他の言語の間を切り替えている。一つの会議の中で複数の言語を混ぜて用いることも多い。公式の企業言語は、文書、正式な報告および本社とのコミュニケーションの言語を示すものであり、話し言葉の実践は複言語的なままである。4
注
- Richard J. Watts and Heather Murray (eds.), Die fünfte Landessprache? Englisch in der Schweiz, Zurich 2001。表題は問いとして立てられており、寄稿者はこの現象の程度について異なる立場をとっている。要確認。 ↩
- 連邦統計局、言語・宗教・文化調査(Erhebung zur Sprache, Religion und Kultur)(2014年以降数次にわたり公表)および連邦国勢調査の構造調査。数値は要確認。 ↩
- バーゼル=シュタット州の居住人口に占める外国籍の者の割合については、Statistisches Amt Basel-Stadtの統計年鑑を参照。共通語としての英語の概念については、Barbara Seidlhofer, Understanding English as a Lingua Franca, Oxford 2011およびJennifer Jenkins, English as a Lingua Franca: Attitude and Identity, Oxford 2007を参照。数値は要確認。 ↩
- スイスの多国籍企業の事例研究を含む、2006年頃から2011年にかけて欧州連合の第6次枠組みプログラムの下で資金提供を受けた欧州研究プロジェクトDYLAN(Language Dynamics and Management of Diversity)に関するGeorges Lüdiらの刊行物を参照。要確認。 ↩
本記事は一般的な情報提供のみを目的としています。法律上または税務上の助言を構成するものではなく、個別案件に関する助言に代わるものでもなく、弁護士と依頼者との間に委任関係を生じさせるものでもありません。本記事は2026年10月時点の法的状況を反映しています。